スーパーカー顔負けの0→100km/h加速3秒台をマークするスーパーSUVが存在する。

ポルシェ? アストンマーティン? 答えはどちらもNO。

最速SUVに乗るなら、らしいランボか、らしくないジープか、ど...の画像はこちら >>

市販車最速のSUV(編集部調べ)は、ファイティングブルこと「ランボルギーニ ウルス」と、サーキットの鷲を意味する「ジープ グランドチェロキー トラックホーク」である。


最速は猛牛か? 鷹か?

最速SUVに乗るなら、らしいランボか、らしくないジープか、どっち?
2017年にランボルギーニ初のSUVとして話題をさらったウルス。車名は家畜牛の先祖にあたる大型野生牛にちなんだもの。その血脈には歴代ランボルギーニが車名を拝借した闘牛たちが連なる。車両価格は3068万1070円〜。

加速性能は「ランボルギーニ ウルス」がなんと0→100km/hで3.6秒! 一方の「ジープ グランドチェロキー トラックホーク」は3.5秒(0-60マイル)に達する。

いずれも算出単位に多少の差はあれど、このタイムは最新ポルシェ911 カレラS(ローンチモード使用時)と勝るとも劣らない数値を叩き出す。背が高く、車重2トン以上の大きな体躯を持つ5人乗りSUVなのに、である。

最速SUVに乗るなら、らしいランボか、らしくないジープか、どっち?
4代目現行型となるグランドチェロキー。既に登場から10年と年次設計は正直古さが否めないものの、まだまだ現役選手。「トラックホーク」はジープ史上最高スペックを手に入れ、価格も同社最高額となる1356万円〜に。


SUVでもランボらしさ全開のウルス

「ランボルギーニ ウルス」の心臓部は4L V8ツインターボ。最高出力650ps、最大トルクは850Nmを発生。最高速度は305km/hに達する。

最速SUVに乗るなら、らしいランボか、らしくないジープか、どっち?
ランボルギー二初となる市販ターボエンジン4L V8ツインターボを搭載。その強力なパワーを8AT+フルタイム4WDというパワートレインで路面へと伝える。

コクピットは至るところに六角形の意匠を取り入れた戦闘機のようなデザイン。

エンジン始動は写真中央の赤いフラップをはねあげて、スターターボタンを押すというワクワクするギミックだ。

最速SUVに乗るなら、らしいランボか、らしくないジープか、どっち?

始動時の爆音こそランボルギーニらしいが、街を流す程度では普通の乗用車的に乗れる大人しさ。乗り心地は終始フラットで、タイトコーナーでは背の高さを感じさせない、従順な猛牛だ。

しかし、ひとたび「コルサ(サーキット)」モードにすると豹変。けたたましい“雄たけび”が鳴り響き、ひときわ強い闘争心をむき出しにする。

最速SUVに乗るなら、らしいランボか、らしくないジープか、どっち?
「アニマ(魂)」とネーミングされた走行モードセレクター。3つのオンロード走行モードに加えて、ネーヴェ(スノー)、テッラ(グラベル)、サッビア(砂)からなる3つのオフロード走行モードも加わる。

怒涛のパフォーマンスはまるで無敵のスター状態! 息継ぎする間も無く、ダイレクトな変速を行い、前へ前へと駆け出す。

これはもう過激すぎるほど。やはりどんな形になろうとランボルギーニはランボルギーニなのであると思わせてくれるSUVだ。


ジープらしからぬオンロードに特化したトラックホーク

一方、「ジープ グランドチェロキー トラックホーク」の心臓部はダッジ・チャレンジャーSRTヘルキャットと共通する大排気量6.2L V8OHVスーパーチャージャー付き「HEMI」。

最速SUVに乗るなら、らしいランボか、らしくないジープか、どっち?
ジープ史上最強スペックを誇る心臓。もちろん燃費はほぼ度外視と言っていいほど。野太いエキゾーストノートと、心地良いドロドロとした振動がたまらない。

最高出力710ps、最大トルク868Nm、最高速度は288km/hを誇るというモンスタースペックだ。

最速SUVに乗るなら、らしいランボか、らしくないジープか、どっち?

オフロードに長けたジープとしては異色の存在となる、オンロード最高性能が与えられたトラックホーク。ちなみにオフロード性能を高めた国内限定162台の「グランドチェロキー トレイルホーク」も新たに発売中だ。

乗り味はウルスのそれと比べるとやや柔らかく、その分シティユースではアメ車ならではの至極快適な乗り心地をみせる。

しかし、有事の際の「トラックモード」は、まるでミサイルが如く加速。スリー、ツー、ワン……ペダルを踏み込むと同時に低回転から湧き上がる怒涛のトルクに身体がシートに打ちつけられる。

およそ3000rpmから響くスーパーチャージャーのメカニカルサウンドと相まって、アメリカンマッスルカーらしいスタートダッシュは豪快かつ痛快そのもの!

最速SUVに乗るなら、らしいランボか、らしくないジープか、どっち?

4WDシステムやトランスミッション、足周りなどの各種設定をそれぞれ個別にアジャストできるのも、武骨なイメージのジープらしからぬ電子デバイスの巧妙だ。

最速SUVに乗るなら、らしいランボか、らしくないジープか、どっち?

残念ながら同じシチュエーションで加速性能を試すことはできなかったものの、0→100km/h加速はほぼ互角。動画投稿サイトなどでも2台の速さを競う動画は見つかるので参照されたし。

今、市販車で地上最速のSUVは間違いなくこの2台だろう。あくまでランボルギーニらしさを貫いた猛牛か、ジープが新たな一面を見せた鷹か……あなたが乗りたいのは、どっち?

 

カストロトシキ=文