スーパーカー顔負けの0→100km/h加速3秒台をマークするスーパーSUVが存在する。
ポルシェ? アストンマーティン? 答えはどちらもNO。
市販車最速のSUV(編集部調べ)は、ファイティングブルこと「ランボルギーニ ウルス」と、サーキットの鷲を意味する「ジープ グランドチェロキー トラックホーク」である。
最速は猛牛か? 鷹か?
加速性能は「ランボルギーニ ウルス」がなんと0→100km/hで3.6秒! 一方の「ジープ グランドチェロキー トラックホーク」は3.5秒(0-60マイル)に達する。
いずれも算出単位に多少の差はあれど、このタイムは最新ポルシェ911 カレラS(ローンチモード使用時)と勝るとも劣らない数値を叩き出す。背が高く、車重2トン以上の大きな体躯を持つ5人乗りSUVなのに、である。
SUVでもランボらしさ全開のウルス
「ランボルギーニ ウルス」の心臓部は4L V8ツインターボ。最高出力650ps、最大トルクは850Nmを発生。最高速度は305km/hに達する。
コクピットは至るところに六角形の意匠を取り入れた戦闘機のようなデザイン。
始動時の爆音こそランボルギーニらしいが、街を流す程度では普通の乗用車的に乗れる大人しさ。乗り心地は終始フラットで、タイトコーナーでは背の高さを感じさせない、従順な猛牛だ。
しかし、ひとたび「コルサ(サーキット)」モードにすると豹変。けたたましい“雄たけび”が鳴り響き、ひときわ強い闘争心をむき出しにする。
怒涛のパフォーマンスはまるで無敵のスター状態! 息継ぎする間も無く、ダイレクトな変速を行い、前へ前へと駆け出す。
ジープらしからぬオンロードに特化したトラックホーク
一方、「ジープ グランドチェロキー トラックホーク」の心臓部はダッジ・チャレンジャーSRTヘルキャットと共通する大排気量6.2L V8OHVスーパーチャージャー付き「HEMI」。
最高出力710ps、最大トルク868Nm、最高速度は288km/hを誇るというモンスタースペックだ。
オフロードに長けたジープとしては異色の存在となる、オンロード最高性能が与えられたトラックホーク。ちなみにオフロード性能を高めた国内限定162台の「グランドチェロキー トレイルホーク」も新たに発売中だ。
乗り味はウルスのそれと比べるとやや柔らかく、その分シティユースではアメ車ならではの至極快適な乗り心地をみせる。
しかし、有事の際の「トラックモード」は、まるでミサイルが如く加速。スリー、ツー、ワン……ペダルを踏み込むと同時に低回転から湧き上がる怒涛のトルクに身体がシートに打ちつけられる。
およそ3000rpmから響くスーパーチャージャーのメカニカルサウンドと相まって、アメリカンマッスルカーらしいスタートダッシュは豪快かつ痛快そのもの!
4WDシステムやトランスミッション、足周りなどの各種設定をそれぞれ個別にアジャストできるのも、武骨なイメージのジープらしからぬ電子デバイスの巧妙だ。
残念ながら同じシチュエーションで加速性能を試すことはできなかったものの、0→100km/h加速はほぼ互角。動画投稿サイトなどでも2台の速さを競う動画は見つかるので参照されたし。
今、市販車で地上最速のSUVは間違いなくこの2台だろう。あくまでランボルギーニらしさを貫いた猛牛か、ジープが新たな一面を見せた鷹か……あなたが乗りたいのは、どっち?
カストロトシキ=文