「Running Up-Date」とは……
週に一度、水曜日の夜に集まって、都会の街中をグループランする異色のランニングチームがある。
ストイックに走り込むのではなく、みんなで和気あいあいと走るコミュニケーションが活動の中心だ。
都会にも自然にも溶け込むアーシーなカラーを選ぶ
「今の社会情勢下では、仲間と集まって街中を走るというのは難しい面があるのですが、早くまたAFEのみんなで走りたいですね」。
そう前編でも話をしてくれた遠藤孝純さんも、勤務先はやはり大手のアパレルメーカーだ。ランニングギアの選び方も、ほかの多くのラン仲間がそうであるように「陸上競技っぽい」目線だけではなく、ファッションとしてのコーディネイトにも重きを置いている。

「シューズに関しては完全にナイキ派で、ほかのメーカーは食わず嫌いというか試してもいないんです(笑)」という遠藤さんの愛用シューズは「ズーム フライ3」だ。
世界のマラソンシーンを席捲した厚底シューズのコレクションで、アスリート向けハイエンドモデルのひとつ下のグレードに位置付けられている。このバージョン3からは内蔵プレートの素材にハイエンドモデルと同じカーボンファイバーが採用され、市民ランナーにもファンが多い。
「アルファフライやネクストパーセントといったトップモデルも試してみましたが、それだと今の自分の脚の状態を考えるとちょっとキツくって。とはいえほかのモデル、例えばペガサスとかでは物足りなさが残るので、このズームフライ3のバランスがちょうどいいんです。既に何足か履きつぶしていて、その度にリピート買いしています」。

「プライベートの普段着でもグレー系やベージュ、ブラウンの淡色が中心で、ランニングのコーディネイトでもその好みが反映されています。黒だと少し強すぎる気がして、かといってビビッドな原色もしっくりこない。アーシーなカラーは、自宅のそばにある湖畔を走るときにも周囲の自然に溶け込むので、気持ち良く走れるんですよ」。
ベストは、ポケットが少ないウェアの日の必需品
淡い色味のチョイスはウェアでも同様だ。

「ファッションが好きですから、走るときのウェア選びもデザインや色味が大事な要素になります。基本的にウェアもナイキ一択。その中で自分好みのカラーを探しています。
今日のウェアも、ナイキだからもちろん機能的には申し分ありません。このトップスはベージュ系の色味が気に入っています。裏起毛のフリース素材のため、保温力も十分です」。
ただしポケットなどの収納がほとんどないため、ウィンターシーズンはその上からベストを着用することが多い。

「ベストはGYAKUSOUで、少し前のシーズンのもの。ランニング用のベストはなかなかモノがないので重宝しています。ボトムスはロングタイツで。ぴたっとしたヒップ周りのシルエットが丸わかりになってしまうものでなく、腰回りに適度にゆとりがあります。
伸縮性に富んだ素材で、サルエルパンツのようにひざから下がテーパードしていて走りやすいんですよ。
ソウルのラン友にマネぶ、“逆スウッシュ”コーディネイト
AFEでの活動を通じて、海外のランナーとも親交のある遠藤さん。数年前、ソウルで知り合ったランナーがしていた、とある着こなしが彼の目に留まった。

「現地の『PRRC1936』というランニングチームと一緒に走ったときに、そのうちのメンバーのひとりが、ナイキのヘッドバンドを、スウッシュのロゴが天地逆さまの向きになるように着用していて、それがなんか格好良かったんですよね。
特に深い意味はないんですけど、真似させてもらってます。こういう細かいこだわりが自分のスタイルになってくると、ランニングのコーディネイトは俄然楽しくなりますよね」。

ヘッドバンド同様にネックゲイターもアーシーなオリーブグリーンで、こちらはノンネイティブ×ハーレーのコラボレーションアイテム。
耳部分にはスリットが開いており、フェイスカバーとしての使い方もできる。今どきのエチケットとしても便利な防寒小物だ。

気の合うランナー仲間と一緒に走れないときほど、自分の好きなアイテムでコーディネイトしてモチベーションをアップデートさせる。
レースの予定が立てにくい今だからこそ、シリアスにトレーニングするためのアイテム選びではなく、ライフスタイルの一環として気軽に走るためのギアを選ぶ。
そうすればこのコロナ禍も、走りのスランプも、きっと乗り越えられるはず!

氏名:遠藤孝純
年齢:43歳(1977年生まれ)
仕事:アパレルメーカー EC運営
走る頻度:週3日程度。
記録:フルマラソン3時間14分(2017年、ソウルマラソン)
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「Running Up-Date」
ランニングブームもひと昔まえ。体づくりのためと漫然と続けているランニングをアップデートすべく、ワンランク上のスタイルを持つ “人”と“モノ”をご紹介。街ランからロードレース、トレイルランまで、走ることは日常でできる冒険だ。 上に戻る
礒村真介(100miler)=取材・文 小澤達也=写真