
はじめてリシャール・ミルさんの邸宅にお邪魔した日のことはよく覚えている。4年前のことだ。「ル・マン クラシック」を観戦・取材した翌日だった。場所はパリの南南東300kmほど、「ル・マン クラシック」の開催地であるサルト・サーキットからは南東へ450kmほどの距離にあるレンヌという街の郊外。スケジュールはリシャール・ミルさんの邸宅でのランチが予定されていた。我々は昨晩のうちにル・マンを離れ、レンヌ近郊のホテルに宿泊、翌日の午前中にはリシャールさんの邸宅に向かった。
リシャールさんご本人が到着したのは正午過ぎ。我々がウェルカムドリンクを頂戴しはじめて間もなくだった。自身の運転する車をスルスルと敷地に入れながら、「お待たせしました!一部道が混んでいていまして」。聞けば「ル・マン クラシック」のアフターパーティなどがあり、今朝ル・マンから走ってきたそうだ。耳を疑うような話だが、早朝から450kmの行程を自身がステアリングを握ってドライブし、日本からのゲストとランチを執ることはまるで特別なことではないようだった。