お金というものは、キッチン設備を整えてみたり、休日の旅行に行ったり、住宅ローンを払ったり、としていると、いとも簡単に消え去るものだ。しかし、私にすればそんなことよりも好きな車を買うのにお金を費やしたい。


シトロエンSMを売ったので、その資金を手に次は何を買おうか考えていた。一風変わった車を購入して挑戦をしてみようかとも思ったが、何度考えても結局行きつくのは20年間あえて避けてきたポルシェ911だった。

少し前までは、私でも1973年以前のポルシェ911を買える気もしたが、今では価格高騰のおかげですっかりそんな気配すらなくなってしまった。(ポルシェの高騰は私が914を売ってから始まった気がする)。SCなら買えるかと思ったが、これだと思う1台に巡り合えなかった。964にするか?あまり乗り気でないながらも、悩んでいたら964すら手に届かなくなった。
クラシック911がうまくブレンドされている993も同様だ。

996はどうだろうか?水冷エンジンと、ボクスター同様のフロントエンドを備え、1997年に発表された当時、周りのみんなに買うのを勧められたのをよく覚えている。996ならまだ安く手に入ることは分かっていた。しかし、996には程度の違いこそあれ、あまり良い噂がなかった。それに、インテリアも過去の911に比べるとだいぶ劣化しているように感じる。それでもポルシェはポルシェ、個性は無くてもドライブするには素晴らしい車である。


20年間避けてきたポルシェ911を買う決心が付いた!│背中を押したのは?


悩んでいたところ、"996も価格高騰するぞ!"という恐怖に苛まれた。今度こそ、逃すわけにはいかない。1万ポンドから手に入るのを確認した。しかしそこには、ティプトロニックであったり、コンバーチブルであったり、事故車であったり、走行距離がやたらと長かったりと様々なパターンがあった。私が欲しかったのは、ちゃんとドキュメントが付いていて特に大きな修理もされていない、クーペのMT車、カレラ2であったのだ。マイルに関しては、ある程度目をつぶった。
そして、少なくとも1万5000ポンドが必要になることがわかった。

オンラインサイトで100以上の996を探し、メタリックブラックのボディにブラックのレザーインテリアに仕上がっている2001年のカレラ2を発見した。これまでに3オーナーで、走行距離は5万2000マイルだ。1万5000ポンドは超えていたが、第2世代のインテリアは初代よりも良くなっていて、エンジンは3.6リッターまでに拡大されているし、スタリングも綺麗だ。

ということで、996を買うことにした。それを買っても、シトロエンSMを手放した分のお金が少し余っているから、ロングトリップ用にVWのキャンパーを買おうかなんて思いもよぎってしまっている...

Words: David Lillywhite 訳:オクタン日本版編集部