
まだまだ車がごく一部のお金持ちのモノだった時代。自転車での旅はフランス国内で大流行し 、シクロツーリズムというフランス独自の自転車文化が開花した。この当時の自転車屋というのは、メーカーの吊しの自転車を販売するのではなく、オーダーメイドが基本。乗る人の手足の長さから用途に合わせて、フレームのサイズや角度を決めていき一つ一つ作っていく。

1938年当時から変わらないブティック。
この時代は星の数ほど、そういったオーダーメイドの自転車メーカーがあった。彼らはあくまでもアマチュアサイクリストである。そのアマチュアリズムの中で色々な競技が開催されていた。
例えば、ハンガリーからの移民のエルネスト・スューカがいた。彼の脚力はプロにも劣らないもので、アマチュア競技でサンジェに乗ったエルネストは何度も優勝を重ねていった。メーカーとしてのアレックス・サンジェはこの頃すでにトップメーカーとなっていた。元々体の弱かったアレックス・サンジェ氏は、このブティックをエルネストと弟のローランに譲った。この二人はさらに磨きをかけて、後に宝石と称えられる自転車ブランドを確立していったのであった。