
「うち(studioぴえろ)は、フジオプロさんと30年ぐらい前にやったTVアニメ『おそ松くん』や『平成天才バカボン』でご一緒させていただいていて、その後も『バカボン』のパチンコ台に使われるアニメ制作などをしていくなかで、社内で『赤塚マンガをもう1度世に出したい』という話が出てきたんです。
しばらく地上波でアニメになる機会はなかったけれど、観てもらえれば今でもおもしろいものになるという確信が社内にはありました。『じゃあ、今やるならどれだろう』『おそ松くんだ』といった流れで、アニメ『銀魂』などをやられている藤田(陽一)さんならぴったりなんじゃないかと」
富永と藤田はもともとサンライズ(制作会社)で同期という間柄。そのような経緯で始まった『おそ松さん』だが、今のようなスタイルになるまでには、かなりの試行錯誤があったようだ。
「どれだけ捨ててきたかわからないくらいたくさんのネタをボツにしてきました。たとえばシナリオに関して言うと、松原(秀)さんはお笑いの構成作家をやられている方ですが、彼は話を作る時にはとにかくいっぱいネタを持ってきて、次々に自主ボツにしていき、それでも残った本当におもしろいものだけを使うんです」