コストコ通して全国展開
8月24日にオープンしたコストコ沖縄南城倉庫店。開店前から多くの客が並び、早朝から買い物をしている様子が話題になりました。
沖縄から全国へ販路を拡大しようとすると、必ずと言っていいほど、物流コストや供給量の壁が立ちはだかります。県外の大手メーカーとの競合は非常に不利ですが、ナンポーの安里睦子社長は「沖縄だから、という理由で諦めたくない。県外の土俵でも戦えることを次の世代に示すことが私の役割」と熱く語っていたことが印象的でした。
ナンポーがおからを使い開発した県内で販売されている「タスト」シリーズ(左)と、コストコ専用商品の「タストミニ」
ナンポーだけでなく、新しい商機や地域のにぎわいにつなげようと模索する事業者も多いと思います。経済面の連載「8・24 コストコ上陸」も、ぜひ読んでみてください。
「ジャングリア」は大丈夫?
一方でコストコの開店は、交通渋滞という深刻な課題を浮き彫りにしました。南城市役所を発着点とするコミュニティーバスの「N(エヌ)バス」は、通常なら1周約75分のルートが約10時間かかったといいます。
大渋滞に巻き込まれるNバス(中央奥)=8月24日午前8時19分(竹花徹朗撮影)
近隣住民の方にとっては、生活に支障が出て大変だったと思います。今回、救急搬送の遅れは確認されなかったとのことですが、今後万が一、救急や消防の車両が通れない事態となれば、地域住民の命にも影響を及ぼしかねません。また、今回の渋滞で近隣の事業者には大きな損失が生じました。
コストコだけでなく、今帰仁村と名護市にまたがって建設中のテーマパーク「ジャングリア」についても、2025年予定の開業時に同様の渋滞が起こり得るのではないかと懸念されます。
「コストコの開店を見ると、ジャングリアも心配している」。こうした声を関係者から多く聞くようになりました。ジャングリア入り口付近での渋滞がボトルネックになって、本部町の沖縄美ら海水族館やその近隣のホテル、飲食店、観光施設に影響が及ぶことも予想されます。そうなると、観光客にとっても満足度の低下につながり、県民や事業者にとっても大きな損失となります。コストコの渋滞とともに真剣に考え、対処するべき課題だと思います。
「ジャングリア」の課題や展望を探る、連載や記事一覧はこちらから。
宿泊税の議論が本格スタート
今週、観光振興や地域活性化を考える上で、大事な議論が本格的にスタートしました。県が観光目的税(宿泊税)を議論する検討委員会を開きました。宿泊税は、県内のホテルや民宿などの宿泊者が、宿泊事業者を通じて支払う地方税の一種です。
2024年8月30日現在、全国で9自治体(東京都、大阪府、京都市、金沢市、北海道倶知安町、福岡県、福岡市、北九州市、長崎市)が導入しています。また、北海道ニセコ町、愛知県常滑市、静岡県熱海市で、導入開始日が正式に決定しています。
沖縄では、県が2026年度の導入開始を目指しています。また、北谷町や本部町、恩納村、石垣市、宮古島市の5市町村は独自の宿泊税導入を表明しています。ただ、①税の使途②定額か定率か③課税免除の範囲④県と独自に宿泊税を導入する市町村との配分ーなどで、県と観光業界で意見が分かれ争点となっています。スタートまでに条例案の提案・制定、総務大臣の同意、周知期間の確保などの手続きを踏む必要があり、実は議論の時間は限られています。
いくら徴収するのかはもちろん、どのような事業に使うのか、そのチェック体制はどうなるのかーなど、議論すべきことは山積みです。財源を活用して「どのような沖縄をつくりたいのか、または何を残したいのか」といった視点に立つと、観光開発だけでなく、自然保護や住民生活とのバランスの確保も求められます。観光業界に限らず、多くの県民、業界を巻き込んで議論する必要があるのではないでしょうか。スタートの時期ありきではなく、しっかりと議論を尽くしてきちんと理解が得られるようにしてほしいと思います。
「宿泊税」の課題や展望を探る、連載や記事一覧はこちらから。
本部高校の学校改革に学ぶ
議論を尽くすことは民主主義の根幹の一つだと思います。ただ、学生時代にこうした重要性を学べる機会や成功体験は多くありません。
髪の染色や化粧、ピアスなどを禁止事項から外しただけではありません。教員が学びにつながる指導の時間を確保したり、デジタル教材を導入したりと、勉強や地域の課外活動に取り組める環境が整えられたことも素晴らしいと思います。近年、厳しすぎる理不尽な「ブラック校則」を見直す動きが活発化しています。他の高校だけではなく、多くの組織で学べる点があるのではないかと思いました。
台風対策を万全に!
さて、台風10号が九州に上陸しました。気象庁によると、台風10号は9月1日にかけて西日本を東へ進む見込みです。県外の皆さん、十分にお気を付けください。
沖縄からは離れていますが、海上は台風の影響でうねりを伴い波が高くなっているようです。崎濱綾子さんのお天気コラム「うちなぁ季節めぐり」によると「一発大波(いっぱつおおなみ)」に注意が必要とのこと。また、沖縄の南海上では台風が発生しやすい大気の流れもあるとか。
ナンポーがおからを使い開発した県内で販売されている「タスト」シリーズ(左)と、コストコ専用商品の「タストミニ」">
大渋滞に巻き込まれるNバス(中央奥)=8月24日午前8時19分(竹花徹朗撮影)">
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8月24日にオープンしたコストコ沖縄南城倉庫店。開店前から多くの客が並び、早朝から買い物をしている様子が話題になりました。
コストコを新たな商機につなげようと、県内事業者も挑戦しています。全国のコストコ35店舗へ販路を拡大した那覇市の菓子製造業ナンポーの挑戦に迫ったこちらの記事も読まれました。
沖縄から全国へ販路を拡大しようとすると、必ずと言っていいほど、物流コストや供給量の壁が立ちはだかります。県外の大手メーカーとの競合は非常に不利ですが、ナンポーの安里睦子社長は「沖縄だから、という理由で諦めたくない。県外の土俵でも戦えることを次の世代に示すことが私の役割」と熱く語っていたことが印象的でした。
ナンポーがおからを使い開発した県内で販売されている「タスト」シリーズ(左)と、コストコ専用商品の「タストミニ」
ナンポーだけでなく、新しい商機や地域のにぎわいにつなげようと模索する事業者も多いと思います。経済面の連載「8・24 コストコ上陸」も、ぜひ読んでみてください。
「ジャングリア」は大丈夫?
一方でコストコの開店は、交通渋滞という深刻な課題を浮き彫りにしました。南城市役所を発着点とするコミュニティーバスの「N(エヌ)バス」は、通常なら1周約75分のルートが約10時間かかったといいます。
大渋滞に巻き込まれるNバス(中央奥)=8月24日午前8時19分(竹花徹朗撮影)
近隣住民の方にとっては、生活に支障が出て大変だったと思います。今回、救急搬送の遅れは確認されなかったとのことですが、今後万が一、救急や消防の車両が通れない事態となれば、地域住民の命にも影響を及ぼしかねません。また、今回の渋滞で近隣の事業者には大きな損失が生じました。
コストコだけでなく、今帰仁村と名護市にまたがって建設中のテーマパーク「ジャングリア」についても、2025年予定の開業時に同様の渋滞が起こり得るのではないかと懸念されます。
「コストコの開店を見ると、ジャングリアも心配している」。こうした声を関係者から多く聞くようになりました。ジャングリア入り口付近での渋滞がボトルネックになって、本部町の沖縄美ら海水族館やその近隣のホテル、飲食店、観光施設に影響が及ぶことも予想されます。そうなると、観光客にとっても満足度の低下につながり、県民や事業者にとっても大きな損失となります。コストコの渋滞とともに真剣に考え、対処するべき課題だと思います。
「ジャングリア」の課題や展望を探る、連載や記事一覧はこちらから。
宿泊税の議論が本格スタート
今週、観光振興や地域活性化を考える上で、大事な議論が本格的にスタートしました。県が観光目的税(宿泊税)を議論する検討委員会を開きました。宿泊税は、県内のホテルや民宿などの宿泊者が、宿泊事業者を通じて支払う地方税の一種です。
2024年8月30日現在、全国で9自治体(東京都、大阪府、京都市、金沢市、北海道倶知安町、福岡県、福岡市、北九州市、長崎市)が導入しています。また、北海道ニセコ町、愛知県常滑市、静岡県熱海市で、導入開始日が正式に決定しています。
他にも、北海道赤井川村は今年8月6日付で総務大臣の同意を得ており、今後導入が見込まれます。
沖縄では、県が2026年度の導入開始を目指しています。また、北谷町や本部町、恩納村、石垣市、宮古島市の5市町村は独自の宿泊税導入を表明しています。ただ、①税の使途②定額か定率か③課税免除の範囲④県と独自に宿泊税を導入する市町村との配分ーなどで、県と観光業界で意見が分かれ争点となっています。スタートまでに条例案の提案・制定、総務大臣の同意、周知期間の確保などの手続きを踏む必要があり、実は議論の時間は限られています。
いくら徴収するのかはもちろん、どのような事業に使うのか、そのチェック体制はどうなるのかーなど、議論すべきことは山積みです。財源を活用して「どのような沖縄をつくりたいのか、または何を残したいのか」といった視点に立つと、観光開発だけでなく、自然保護や住民生活とのバランスの確保も求められます。観光業界に限らず、多くの県民、業界を巻き込んで議論する必要があるのではないでしょうか。スタートの時期ありきではなく、しっかりと議論を尽くしてきちんと理解が得られるようにしてほしいと思います。
「宿泊税」の課題や展望を探る、連載や記事一覧はこちらから。
本部高校の学校改革に学ぶ
議論を尽くすことは民主主義の根幹の一つだと思います。ただ、学生時代にこうした重要性を学べる機会や成功体験は多くありません。
その点、本部高校の学校改革には感心しました。生徒たちが議論を重ねて、校則を考え見直しを実現させました。
髪の染色や化粧、ピアスなどを禁止事項から外しただけではありません。教員が学びにつながる指導の時間を確保したり、デジタル教材を導入したりと、勉強や地域の課外活動に取り組める環境が整えられたことも素晴らしいと思います。近年、厳しすぎる理不尽な「ブラック校則」を見直す動きが活発化しています。他の高校だけではなく、多くの組織で学べる点があるのではないかと思いました。
台風対策を万全に!
さて、台風10号が九州に上陸しました。気象庁によると、台風10号は9月1日にかけて西日本を東へ進む見込みです。県外の皆さん、十分にお気を付けください。
沖縄からは離れていますが、海上は台風の影響でうねりを伴い波が高くなっているようです。崎濱綾子さんのお天気コラム「うちなぁ季節めぐり」によると「一発大波(いっぱつおおなみ)」に注意が必要とのこと。また、沖縄の南海上では台風が発生しやすい大気の流れもあるとか。
気になる方は、コラムをチェックしてみてください。今週のデジ編チョイスはこの辺で。デジタル編集部の川野百合子が担当しました。
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更新:2024-09-10 14:44
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