新型コロナの影響があったとしてもこの急落には衝撃を受ける。健康維持に関する情報は県民に届いているのか。
いま一度、対策を見直す必要がある。
 厚生労働省が「健康寿命」を公表した。
 健康寿命は介護を受けたり、寝たきりになったりせずに日常生活を送れる期間を示す。3年おきに公表され、2022年の全国平均は女性75・45歳、男性72・57歳だった。
 都道府県別の順位で県内女性は、平均を下回る74・33歳となり46位だった。前回の25位から大幅に後退している。
 男性も71・62歳の45位で、前回の40位からさらに順位を落とした。
 県内では健康寿命の低迷が問題となっている。今回、女性は前回からマイナス1・18歳、男性も同0・49歳で健康寿命を縮めた。
 全国平均は男女ともほぼ横ばいだったのに対し、特に女性の悪化が目立つ。
 長年指摘されてきたのは、肥満やアルコール摂取量が多いことなどによる生活習慣病の多さと、受診遅れによる重症化だ。
 県は健康増進計画「健康おきなわ21」を3次にわたり策定し取り組みを進めるものの、成果が出ているとはいえない。

 20~64歳の働き盛り世代の死亡率も全国との差は広がっている。
 県内で死亡率が高いのは心疾患や脳血管疾患などの血管系疾患と肝疾患、糖尿病。いずれも飲酒や喫煙、運動などの生活習慣が大きく関わっており、県民の行動を変える取り組みの充実はなお求められる。
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 県や健康保険協会沖縄支部などは21年に「うちなー健康経営宣言」と銘打ち、従業員の健康づくりに取り組む事業所の認定制度を創設した。今年11月末現在約2千事業所が宣言する。
 働き盛り世代の健康維持に職場の協力は欠かせない。さらに増やす努力を続けてほしい。
 健康寿命を縮める一因である骨粗しょう症対策も重要だ。
 県内は骨粗しょう症からくる大腿(だいたい)骨近位部骨折の発生率が全国で男性1位、女性2位と高い。
 自覚症状がほとんどなく、骨折に至れば寝たきりになることも多い。
 厚労省は本年度から女性の骨粗しょう症検診の受診率に関する数値目標も設定している。県内でも受診率向上に向けた対策を取るべきだ。

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 今回は新型コロナ後初めての調査結果だ。悪化には感染による直接的な影響や長期間の自粛生活による影響も考えられる。
 県内ではたびたび大流行。21年の新型コロナ関連死は人口10万人当たり8・83人で全国最多だった。
 コロナ禍では、医療が逼迫(ひっぱく)しても隣県への救急搬送が難しいなど「離島県」特有の問題も浮上している。
 健康維持には環境整備も重要となる。どこに住んでいても医療や福祉はもちろんのこと民間を含めさまざまな健康づくりサービスにアクセスできる基盤整備も進めてほしい。
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