沖縄県宮古島市の第三セクター「コーラル・ベジタブル社」の借り入れを巡り、同社代表として連帯保証人になった元市長の下地敏彦氏が、琉球銀行による同氏の預金と債務の相殺は不当だとして約3930万円の返還を求めた訴訟の判決で、那覇地裁は23日、請求を棄却した。
 原美湖裁判官は「(下地氏の)意思に基づいて連帯保証契約を締結したと認められる」と判断。
相殺による琉銀の債権回収は「有効」と認めた。
 下地氏側は連帯保証契約の際、当時の支店長から連帯債務は負わないと説明を受けたとし「市長という公の立場で形式的なものと認識し署名押印した」と主張したが、原裁判官は「信用することはできない」と退けた。
 琉銀側は下地氏が個人として連帯保証契約を結んでおり、債務と預金の相殺は「至極当然の債権回収行為」と主張していた。
 コーラル社は1999年、農産物の加工、販売のため旧下地町(現宮古島市)やJAなどが出資して設立した。その後資金繰りが悪化し、琉銀は2009年、運転資金として同社に5千万円を貸し付けた。市長だった下地氏は同社代表に就任すると、14年に新たな連帯保証人として琉銀と契約を交わした。
 市は15年に保有する全株式を沖縄製粉に無償譲渡した。下地氏は代表を退任したが、連帯保証人のままだった。同社は約1億6千万円の負債を抱え22年に破産した。
宮古島市の第三セクターによる借金の連帯保証人になった元市長 ...の画像はこちら >>
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