沖縄の離島や地方集落を歩くたび、空き家が静かに増えていく光景が目に入る。住める家屋はあるのに、新たな家庭が入居できない。
そんな矛盾が、地域の過疎化を加速させているように感じる。
 働き方や学び方が変化した今、暮らしの拠点は都市部だけではなくなった。自然豊かな地域で生きたいと願う人々は増えている。県内の空き家数は約6万5千戸。それにもかかわらず、「住む家がない」と子育て世帯などが都市部へ流出している。
 一方で沖縄は、全国で最も子どもたちが多い地域でもある。背景には、沖縄ならではの文化がある。家は単なる不動産ではなく、仏壇やトートーメーなど祖先の記憶が宿る場所だ。「仏壇があるから貸せない」という声も理解できる。
 しかしその一方で、「若い人がいなくなった」と嘆く。本当に若者が地方を離れたのだろうか。それとも、「住める環境」を地域全体として、もっとクリエーティブにつくれていないのではないだろうか。

 私は、これからの沖縄には三つの視点が必要だと思う。一つ目は、空き家を「負動産」ではなく、住宅や文化を含めた地域資源として捉え直すことだ。
 二つ目は、林間学校や自然体験教育、福祉拠点などとして活用し、人と地域の循環を生み出すことだ。イタリアの「アルベルゴ・ディフーゾ」のように、集落全体を再生する発想も参考になる。
 三つ目は、特区や規制緩和を活用し、バガスクリートやサンドバッグ工法など、地域資源を活用した持続可能で安価な住環境づくりを進めることだ。沖縄独自の気候や文化に合った、新しい地域建築の可能性も広がっていくのではないだろうか。
 全国1位の子どもたちの存在こそ、沖縄最大の宝だ。その価値を真正面から受け止め、子どもたちや高齢者、地域で暮らす全ての人々が安心して支え合いながら生きられる環境をつくることが、今の沖縄に求められているのではないだろうか。
(アナンティア取締役ファウンダー)
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