[ウーマンズ ボイス]
 沖縄のシングルマザーの生活史を聞き取る若手研究者がいる。立命館大大学院一貫制博士課程の平安名萌恵さん(27)=糸満市。「自由」で「奔放」に子どもを産み育てていると捉えられがちな彼女たちへのまなざしを問い直そうと始めた研究だ。インタビューを通して見えたのは、男性優位の共同体の中で後回しにされてきた女性たちの実態。「ゆいまーる(相互扶助)にもジェンダー格差がある」沖縄の姿を可視化する。(学芸部・嘉数よしの)
 平安名さんが研究の道を志したのは、静岡文化芸術大学在学中の体験がきっかけ。知人女性に「沖縄の女性は南国気質で、性に奔放」という言葉を投げ掛けられ、驚いた。それを機に調べると、男性誌で沖縄女性が水着で描かれたり、米兵による性暴行事件が性的作品のモチーフにされたりしていた。
 沖縄のシングルマザーについても「ゆいまーるがあるからやっていける」との言説があり、実情を明らかにする必要性を実感。芸術学を専攻して同大を卒業後、立命館大大学院に進み、2018年から調査・研究を始めた。
 離別や非婚でシングルマザーになった20~80代の45人の声に耳を傾けた。見えてきたのは、一人で踏ん張って子どもを育てる母親たちの過酷な暮らしだ。
 ある女性は、中絶を迫ったパートナーとの関係を絶って出産。親族からはサポートを受けられず、生活保護の申請が必要なほど困窮した際も、家族は女性より無職の叔父の居住環境を整えたという。10代で出産した別の女性の家族は、同時期に誕生した男兄弟の子を優遇した。