90'Sガールポップシーンで異彩を放った橘いずみ、その本質が見える佳作『どんなに打ちのめされても』

90'Sガールポップシーンで異彩を放った橘いずみ、その本質が見える佳作『どんなに打ちのめされても』
『どんなに打ちのめされても』のジャケット写真 (okmusic UP's)
神聖かまってちゃんのベストアルバム『ベストかまってちゃん』の初回限定盤に同梱されるフィーチャリングアーティストCDに橘いずみ(現・榊いずみ)が参加していると聞き、本コラムでも彼女をフィーチャーしたい。ヒット作「失格」や「バニラ」等、当時過激と言われた歌詞の内容と相俟って“女・尾崎豊”との異名をとったことでも知られる彼女。アルバム『どんなに打ちのめされても』からわかるそのアーティスト性とは?

 《たったこれっぽちの生きざまをひとり振り返り 四の五の理屈を言ってる私を愛したい》(「失格」)──邦楽シーンにおいて自己表現というものをこれほど的確に言葉にした例はなかなかないと思う。全部が全部そうだとは言うつもりはないが、シンガーソングライター(自ら書いた歌を自ら歌うバンドマンも含む)のやっていることとは畢竟そういうことだろう。《たったこれっぽち》というフレーズはもしかすると辛辣に聞こえるかもしれないが、下手すりゃ10代が《生きざまをひとり振り返る》なんてことも少なくないので、冷静に考えれば過度にへりくだっているわけでも、他人を揶揄しているわけでもないことと理解できる。《自分の為に泣いても人の為には泣けない》や《傷ついた傷つけられたと騒いで憂さ晴らし 失恋した友達慰めどこかホッとしてる》辺りの所謂“あるあるネタ”、あるいは《父親に若い女いても構わない 母親に別の許婚の話を聞きたい》といったショッキングな描写もさることながら、個人的にはこの的確に自己表現をとらえた歌詞に「失格」という楽曲とアーティスト・橘いずみの凄味を感じるところである。...続きを読む

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