ブルースやR&Bのカバーやそれっぽいオリジナルを演奏することで、自分たちのスタイルを磨いていったザ・ローリング・ストーンズであるが、通算8枚目となる本作『ベガーズ・バンケット』から新たにジミー・ミラーをプロデューサーに迎えることによって、新たなスタートを切った。ミラーの助言のもとで、これまで以上にルーツロック的なスタンスで勝負している。本作ではブルースやR&Bだけでなくカントリー的なナンバーも取り上げるなど、70年代のストーンズを予感させるきわめて重要な作品である。

70年代のストーンズに向けた助走期間

ストーンズは黒人音楽オタクの完全主義者であるブライアン・ジョーンズと、同じく黒人音楽オタクであるが自分流を貫くミック・ジャガーキース・リチャーズの3人によって彼らの音楽が練られていくわけだが、デビュー時からリーダーシップを取っていたブライアン・ジョーンズの心身の不調もあって、徐々にジャガー/リチャーズのふたりがグループの方向性を決めるようになる。

67年頃、ジャガー=リチャーズは当時アメリカで徐々に台頭しつつあったフォーク・リバイバルに影響を受けたグレイトフル・デッドのようなルーツ系ロックグループや、デラニー&ボニーらに代表されるスワンプロックの動きに興味を持っていたこともあっただろうし、イギリスで相次いでデビューしたブルースロックバンド(サヴォイ・ブラウン、チキン・シャック、フリートウッド・マックなど)のオタク度レベルの高さに脅威を感じていたこともあっただろう。単なる黒人音楽の亜流ではだめだと、ジャガー/リチャーズは危機感を感じていたはずだ。

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