心臓を泥まみれの氷柱で貫かれ、だくだくあふれる血を止めることすら億劫になるようなニュースが矢継ぎ早に飛び込むここ数日、神田松鯉先生の人間国宝認定は唯一と言っていいほどのおめでたい報せでした。本日も先生の祝福ムードに満ちた浅草演芸ホールまで行ってきたのですが、今日締め切りなのにまだこの原稿が執筆途中だったことを思い出し、トリを務める先生の怪談を聴かずして泣く泣く離脱しました。いいんだ、お弟子さんの神田松之丞さんに「ちょっと笑いすぎじゃないですかね」と苦笑いされるほど楽しかったから。そういうわけで、どういうわけか分かりませんが、寄席で聴ける変化球的な出囃子をご紹介します。

「檄!帝国華撃団」(’96) /真宮寺さくら&帝国華劇団

想像してみてください。長唄やセピア色の歌謡曲、あるいはスタンダードなデキシージャズといった出囃子を期待していたのに、緞帳が上がった途端に切れ味鋭い三味線の和音と軽やかな太鼓の音で構成された「檄!帝国華撃団」のイントロが流れてくる瞬間を。デコラティブなホーンやストリングスがダイナミックに彩る一節を三本の弦で表現すると一陣のつむじ風のごとく潔くなるのかと驚くあまり、もう落語に聴き入るムードから引き剥がされてしまう感動を。小刻みに跳ね、泳動するベースラインを思い出していたら着物姿の男性が唐突に登場する戸惑いを。ちなみに三遊亭とん楽師匠の高座を目当てに行くと聴くことができます。

この記事の画像

「今日もやっぱり寄席に行く、噺家さんの出囃子五選その二」の画像1 「今日もやっぱり寄席に行く、噺家さんの出囃子五選その二」の画像2 「今日もやっぱり寄席に行く、噺家さんの出囃子五選その二」の画像3 「今日もやっぱり寄席に行く、噺家さんの出囃子五選その二」の画像4
「今日もやっぱり寄席に行く、噺家さんの出囃子五選その二」の画像5 「今日もやっぱり寄席に行く、噺家さんの出囃子五選その二」の画像6