午後7時を10分ほど過ぎた頃、開演を告げるSEが鳴り、清春がゆっくりとステージ中央に歩み出る。その眩いばかりのシルエットに早くも大きな歓声と拍手が注がれている。中村佳嗣(Gu)、大橋英之(Gu)、YUTARO(Ba)、FUYU(Dr)といった彼が信頼を寄せるミュージシャン達を従え、ショウの準備は万端だ。
時に狂おしく、時に包み込むような「UNDER THE SUN」で幕を開けると、清春の歌声がホールの隅々をも照らしていく。続くカバーアルバム『Covers』からの「悲しみジョニー」でみせた退廃美と情念にもたまらないものがあった。
清春のライヴは、毎回その場でしか味わえないようなスリルに満ちている。この日はたとえば、『Covers』からの甘く切ない「SAKURA」や浮遊感と包容力を宿した「シャレード」などが絶品で、客席のあちこちから、声にならないような感嘆の声が聞こえてくる。