エレクトリック・サティやOVERROCKETの名義で活動してきた鈴木。今作は、そんなエレクトロニックミュージックへの造詣が深い彼が“エレクトロニック・シューゲイズ”と名付けるサウンドを軸に、シューゲイズ・オルタナティブ・ドリームポップ・エレクトロニカ・エレクトロヒップホップと、⼀筋縄ではいかないジャンルの要素が散りばめられた。しかし、どの曲にも共通しているのは、キャッチーかつ親しみやすいメロディーと、緻密に計算されたアレンジが施されている点だ。
彼がこれまで主眼に置いてきた透明感のある電⼦⾳と低⾳に加え、美しい歪みが加わったサウンドは、エレクトロニックという枠を越え、⼀貫した世界観と⼼地良さを兼ね備えたものに仕上がっている。いつどこで聴いても⼀瞬で空気を変えてくれる確固たる世界観と、未来的だけどどこか懐かしい印象を感じさせる、2020 年型のPOP MUSICとなっている。
そして、彼がの作るトラック上で縦横無尽に⾶び跳ねるのは、ギター&ボーカルを務めるnonの奏でる音。彼⼥自身もDAW を扱い、フィールドレコーディングを⽇課とするDAW ⼥⼦であり、オルタナティブロックバンド・Robert the Thief、エクスペリメンタルポップデュオ・Menoなど、枠に囚われない様々な活動を展開してきた。その中で培われたクレイジーなギター&Fuzz サウンドはmojeraの⾳楽性を⼤きく⽰すものであり、偶然nonの音を聴いた鈴木が本人に声をかけたのがきっかけだったという結成のエピソードもそれを物語っている。