「Why Does It Always Rain On Me?」 (’99)/Travis
雨と聞いて真っ先に思い浮かぶのは英国が生んだロックバンド、トラヴィスのこの作品です。2008年の『フジロックフェスティバル』のグリーンステージでの彼らのライヴ中、突然スコールのような雨が降り始めました。それに気づいたフランは急遽メンバーに合図を送って曲を変更し、「なんでいつも雨が俺には降るんだ?」と茶目っ気たっぷりな表情で楽しそうに演奏し、大いに会場を湧かせました。当時、またひとつ天候を味方につけた奇跡的なシーンを観たなと思ったものですが、もともと彼らは少年のような遊び心を忘れない、温もりのあるステージングを魅せてくれるバンド。あの日ほど雨と音楽を浴びて最高に気持ち良いと感じたことはありません。
「Rainy Night in Soho」(’85) /The Pogues
こちらも同じくイギリス生まれのロックバンド、ザ・ポーグス。彼らはクリスマスソング「ニューヨークの夢」の大ヒットで知られていますが、この雨の中のラブソングもオススメです。ロンドンにあるソーホーという地域は日本の横浜中華街のような小さな一角で、情景が浮かんでくる甘くて切ない歌詞には究極のロマンティシズムを感じます。雨降る街角で繰り広げられるふたりのストーリーというのがポイントで、それほどドラマチックには感じないありきたりな恋愛模様をより神聖化するのに雨がひと役買っていて、大人の恋愛への憧れを抱かせてくれます。バンド2作目となるアルバム『Rum Sodomy & the Lash』に収録のリリースから35年経っても色褪せない名曲です。