12月1日、小林賢太郎のパフォーマー引退発表がTwitterトレンド1位を独占した。TLに溢れる驚愕と困惑のツイートの数々に、小林賢太郎という存在とその創作物が今日のクリエイターにどれほど多大な影響を及ぼしたかを改めて思い知り、ストイックな物作りの姿勢を貫き通す狂気にも似た途方もない芯の強さに畏怖を覚えた。改めて、何度でも。フライヤーの肌触りを指先で堪能し、暗転直後の舞台が光を浴びるまで息を飲み、チケットの抽選結果に一喜一憂し、DMの「初夏です、いい季節になりました」の一文に胸を弾ませた日々。長身痩躯のノーブルなビジュアル、シャイな人となりが滲み出る演技と所作のひとつひとつに神経を摘まれる緊迫感とカタルシス、優雅かつナンセンスで衒学的な欲求を刺激する言葉遊び。「お疲れ様でした」も「ありがとうございました」も書けない。永遠に終わらない。

「東京五輪音頭-2020-」(’17)

自国民ですら生命の危機を覚える酷暑の日本で赤字覚悟の東京五輪など夢も希望も皆無に等しいと絶望しつつも、ケラリーノ・サンドロヴィッチが『東京パラリンピック』の開会式、小林賢太郎が閉会式の演出を手掛けるという報道には興奮を抑えきれなかった。「東京五輪音頭-2020-」は「東京五輪音頭」にパラリンピックの要素を加えたリメイク版。篝火のように朗々として冴え渡る石川さゆりの声調から、角の取れないままゴツゴツしたざらつきと素朴さを内包した竹原ピストルの歌、

この記事の画像

「小林賢太郎のパフォーマー引退に寄せて、多面的な軌跡を辿る5曲」の画像1 「小林賢太郎のパフォーマー引退に寄せて、多面的な軌跡を辿る5曲」の画像2 「小林賢太郎のパフォーマー引退に寄せて、多面的な軌跡を辿る5曲」の画像3 「小林賢太郎のパフォーマー引退に寄せて、多面的な軌跡を辿る5曲」の画像4
「小林賢太郎のパフォーマー引退に寄せて、多面的な軌跡を辿る5曲」の画像5