この夏、誰もが最も耳にした歌声
“国民的アニメ”“国民的アイドル”等々、知名度がちょっと高くなると、すぐに“国民的”と付ける世の中の風潮を依然かなり訝しく思っている。事の始まりはサザンオールスターズ(以下サザン)の“国民的バンド”。気付いたらいつの間にかそう呼ばれるようになっていて、もはやそこに対して不思議に思わない人の方が多いのではないだろうか。ていうか、最近はサザン以外にも“国民的バンド”がたくさんいるようで、何が何やら分からなくなってきている気もする。そのうち、“国民的ラッパー”や“国民的ユーチューバー”なんてのも出てくるんだろう。このままいくと。しかしながら──それが悪態と言われようが、しつこく“果たしてそれは本当に国民的なのか?”と問い続けたいと思ってはいるけれど、今夏、あれだけ桑田佳祐の「SMILE~晴れ渡る空のように~」を聴いてしまうと、“これが2021年現在の国民的音楽と呼ばれるものなのだろうなぁ”という気になったことは、正直に白状しておこう。