坂本龍一がレジェンド級ミュージシャンたちと格闘技ばりに作り上げた『サマー・ナーヴス』
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(okmusic UP's)
昨年12月12日、無観客コンサートとして世界同時配信された『Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 12122020』が、12月12日に音源(CD、アナログ盤)となってリリースされたということで、今週は坂本教授の名盤をピックアップ。とは言っても、『B-2ユニット』は2014年に紹介済。“それじゃあ、ソロデビュー作の『千のナイフ』か”と思ったら、2016年にそのハイレゾ音源が発売された時にレビューさせてもらった。そんなわけで、今回は『千のナイフ』と『B-2ユニット』との間に坂本龍一&カクトウギセッション名義で発表された『サマー・ナーヴス』でいこうと思う。いずれのアルバムとは趣が異なるものの、若き日の坂本教授の意欲的な姿勢が感じられる、これもまた名盤だと思う。

レゲエアルバムとして企画提案

この『サマー・ナーヴス』は、[当初、ソニーからは坂本にボサノヴァのアルバム企画を持ちかけたが、坂本はレゲエアルバムを逆提案した。結果として、フュージョン・レゲエと言うべき内容に仕上がった]というアルバムだという。確かにストレートにレゲエと言い難い作品ではある。某レコード店は本作を“似非レゲー”(※原文ママ)と評している。言い得て妙ではあるし、勝手に言わせてもらえれば、似て非なるところもあるし、ほぼ非なると言っていい楽曲もあるような気がする。そもそもレゲエとはどんな音楽であるかというと──これもWikipediaを使わせてもらうと以下のような説明がされている。[レゲエ(Reggae 英語発音: [ˈrɛɡeɪ])は、狭義においては1960年代後半ジャマイカで発祥し、1980年代前半まで流行したポピュラー音楽である。広義においてはジャマイカで成立したポピュラー音楽全般のことをいう。4分の4拍子の第2・第4拍目をカッティング奏法で刻むギター、各小節の3拍目にアクセントが置かれるドラム、うねるようなベースラインを奏でるベースなどの音楽的特徴を持つ。2018年にはユネスコの無形文化遺産に登録された]。その生い立ちや歩みはともかく、ここで記されている“音楽的特徴”こそが我々がレゲエをレゲエと認識する上での肝と言える。その観点から言えば、『サマー・ナーヴス』収録曲は確かにレゲエと呼べる部分はあろう。だが、さっきも言ったように、これをストレートにレゲエと呼んでいいのか正直逡巡する(ようなナンバーもある)し、もっと言えば、本作未聴の方がこれを聴いてレゲエだと判断するのかと言えば、その答えは否ではないかと思う。レゲエフェスに行ったこともない自分が軽々に言うのも何だが、例えばレゲエフェスでDJが『サマー・ナーヴス』を回すことはないだろう。そういうアルバムではないかと思う(ダブミックスとかエフェクト次第では何とかなりそうだが…)。以下、収録曲を順に見ていこう。(※ここまでの[]はすべてWikipediaからの引用)

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