当たり前のことだが、毎年、1月28日はやってくる。不世出のミュージシャン、どんとの命日である。彼は1962年生まれだから、今年は生誕55年の年でもある。『55歳からのハローライフ』なんてタイトルの村上龍の小説があったように、当代で55歳と言えば定年間近になって人生の再出発を考え出す時期だろう。“たられば”は禁物であることを承知で言うが、もし今もどんとが健在であったとして、55歳になって何を歌い、どんな演奏を聴かせてくれたのか? 世界情勢や沖縄のことを併せて思いを馳せると、なかなか興味深くはある。まぁ、そんな詮なきことはともかく、昨年のボ・ガンボス『BO & GUMBO』に引き続いて、今年もどんとが遺した名盤を取り上げてみたいと思う。

【その他の画像】どんと

■雑多な音楽性を取り込み超進化

どんとの音楽活動のスタートは81年、京都大学入学後に組んだバンド、NANAであると公式プロフィールにもあるが、我々が知る最初のキャリアはローザ・ルクセンブルグ(以下、ローザ)である。アルバイトをしていた京都のライヴハウス拾得で玉城宏志(Gu&Vo)、永井利充 (Ba)と出会ったことに端を発する。その3人でキャラバンナイトという京都のディスコで演奏のアルバイトをしており、それが原型となってバンドが結成されたようだ。その後、玉城が三原重夫(Dr)を誘い、デビュー時のメンバーが揃ったのは83年だ。バンド名は玉城が付けたもので、ドイツで活動したマルクス主義の哲学者、革命家の名前“Rosa Luxemburg”から取った(ちなみにドイツ語での発音なら“ルクセンブルク”だそうで、そこは最大の後悔だと玉城は語っている)。結成の翌年、ローザはNHK主催のコンテスト『Young Music Festival』に出場して見事、全国優勝。このコンテストは