伊丹十三賞は、デザイナー、イラストレーター、俳優、エッセイスト、テレビマン、雑誌編集長、映画監督など、さまざまな分野で才能を発揮し、つねに斬新、しかも本格的であった仕事によって時代を切り拓く役割を果たした伊丹十三氏の遺業を記念して、創設された賞。
今回の受賞の理由として、「俳優、ミュージシャン、映画監督、アーティスト……困難を乗りこえ自由な表現に挑み続ける創作活動にたいして」とその活動が評価されたことが挙げられた。
盾と副賞を受け取ると、のんは喜びと照れが混ざったような笑顔に。「この度は、すばらしい賞をいただけてうれしい気持ちでいっぱいです」と感謝し、「無我夢中で『自分の思いを貫き通すぞ!』という気持ちで活動してきました。自信がある方だと自負してるし、怖いもの知らずでもあると思うのですが、どれだけ自信があっても、褒めてもらえても、自分がやった表現を疑い続ける気持ちで悩んじゃうことがあります」と本音を吐露。「そうやって立ち止まったときに『これでいいんだ!』と背中を押してもらえる特別な賞をいただけたなと感じています」と伝えた。
また、審査員代表・平松洋子氏の「伊丹十三さんと重なるところがある」という言葉を受けて「うれしすぎて大興奮です」と目を輝かせた。そして「さまざまな顔を持っていて、どの分野でも突き詰めた方だと思うのですが、私もそんな風に自分の表現を突き詰めていけるようになれたらなと思います」と宣言。「この賞に恥じぬように挑戦していきたいと思います」とさらなる飛躍を力強く誓った。
のんは、1993年7月13日生まれ。2016年、劇場アニメ『この世界の片隅に』主人公・すずの声を演じ、第38回ヨコハマ映画祭審査員特別賞を受賞。22年2月に自身が脚本、監督、主演の映画『Ribbon』が公開した。
式典には、周防正行氏、中村好文氏、平松洋子氏、南伸坊氏が審査員として登壇し、玉置泰氏がMCを務めた。