俳優の磯村勇斗が主演する映画『若き見知らぬ者たち』(10月11日公開)より、磯村の弟役を演じた福山翔大が、1年間にもおよぶ過酷なトレーニングを重ね、7分間1カットのファイトシーンに挑んだメイキング映像と場面写真が解禁となった。

 本作は、2020年に発表した『佐々木、イン、マイマイン』で新人賞を総なめした内山拓也監督の商業長編デビュー作。内山監督が身近な見聞にインスパイアされたオリジナル脚本で、一人の青年が自分の中にある“最後の砦”と向き合う生き様を苛烈(かれつ)に描く。

 磯村演じる主人公・風間彩人は、亡くなった父の借金を返済し、難病を患う母の介護をしながら、昼は工事現場、夜は両親が開いたカラオケバーで働いている。福山演じる彩人の弟・壮平も同じく、借金返済と介護を担いながら、父の背を追って始めた総合格闘技の選手として日々練習に明け暮れていた。

 本作の脚本に強くひかれ、1年のトレーニング期間を必要とする格闘技選手役を快諾した福山。ジムに通い、食事制限を課し、日々の生活が一変したが、「全てを懸けられる作品に出会えた喜びのほうが勝った」という。

 本作の総合格闘技シーン撮影を実現させるため、日本屈指のブラジリアン柔術・総合格闘技のジムとして知られるトライフォース柔術アカデミーと、日本修斗協会が全面協力。

 22年10月、クランクインの1年前に内山監督とともにトレーニングを始めた福山。序盤は寝技の習得から開始し、見た目は地味だがそこをおろそかにすると偽物だとわかってしまうため骨の折れるような鍛錬を日々重ねた。並行してウェイトによる肉体改造も行いながら、数ヶ月かけて地道なトレーニングを続けていく。さらに試合シーンは修斗の元環太平洋チャンピオンの佐藤ルミナ氏が監修を担当した。

 内山監督と佐藤氏によって練られた試合内容の型に沿ってトレーニングを本格化させたところ、福山の才能が開花。佐藤氏からも日本一の選手になれる逸材だとお墨付きをもらうに至った。

 解禁となったメイキング映像では、劇中最大の見せ場となる1カット7分にも及ぶ長回しで撮影された総合格闘技マッチの裏側を見ることができる。撮影に入るまでのトレーニング風景や福山が試合(シーン)に臨む前のインタビュー、対戦相手役のプロの格闘家ファビオ・ハラダ選手と入念に動きをチェックする様子、実際の試合シーンに臨む福山の姿などが収められている。

 長回しを用いることで、観客の熱気と声援に後押しされながら、実際のプロ格闘技戦に勝るとも劣らない死闘が繰り広げられ、かつてないほどリアルで壮絶な試合シーンが誕生した。

 佐藤氏は「福山君は元々空手をベースに持ち、さらに約1年間、柔術の名門トライフォースで組技の基本を叩き込まれていました。そのため、私は技そのものではなく、MMAで最も重要な“距離感”と“技のつなぎのタイミング”にフォーカスして指導しました。福山君は非常に研究熱心で、集中力も抜群でした。本番では、当時の彼が持てる限りの最高のパフォーマンスを発揮できたと思います。試合シーンは、競技者も唸るほどのリアルを追求した内容になっていますので、ぜひご期待ください」とコメントを寄せている。

 今月22日には、壮平のチャンピオンシップの舞台となった聖地・後楽園ホールにてプロフェッショナル修斗・後楽園ホール大会が開催される。当日は、劇中の壮平と同様、次世代のチャンピオンを狙う“若き見知らぬ者たち”の熱き闘いが繰り広げられるほか、内山監督と福山が昨年の撮影以来の聖地凱旋を果たし、本作に込めた熱い想いを語るトークセッションを開催予定。チケットは修斗BASEオンラインなどで販売中。

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