ロックバンド・くるりが、“新章”のスタートとなるデジタルシングル「La Palummella」(日本語表記:「ラ・パルメッラ」)を10月11日にリリースをすることを発表した。新曲「La Palummella」と「Camel(’Na Storia)」(日本語表記:「キャメル(ひとつの物語)」)の2曲はいずれも、イタリアの音楽家Daniele Sepe(ダニエレ・セーペ)と共にイタリアのナポリで制作した。


 表題曲「La Palummella」は、ナポリ民謡を基に作られた作品。旧いモチーフに向き合い、イタリア語に堪能な盟友・野村雅夫氏の協力のもと日本語に訳詞をし、ナポリ伝統のリズムやアプローチ、Danieleによるさまざまな音楽を混ぜ合わせた編曲によって仕上げられた。

 収録曲「Camel(’Na Storia)」は、岸田繁(Vo/Gt)がとても思い入れがあるというくるり過去作品「キャメル」を、Danieleのプロダクション/編曲のもと再構築。新たな作品として完成させた。

 新曲2曲は、10月12・13日にくるりが主催する『京都音楽博覧会2024 in 梅小路公園』でDanieleと共に初披露する予定。岸田のコメントは以下のとおり。

■岸田繁コメント

-「La Palummella」に寄せて-

私たちはくるりを始めるずっと前から、知らない音楽を聴くことが好きでした。もちろん、友だちが聴いていた流行の音楽も追いかけましたが、ほんとうの楽しみは、誰も知らない辺境の音楽と出会うことでした。

くるりのキャリアを始めて数年、2001年頃に私は一枚のアルバムに出会います。Daniele Sepeというイタリアの音楽家による作品は、心地よい衝撃と共に、時間をかけて私の身体に染み渡っていき、何度も私に不思議な体験を与えてくれました。
それから長きにわたって、私たちは彼の作品を通じて、不思議な魂の会話を続けていくことになります。

2023年のある日、大雨降りしきるナポリの街に降り立った私は、ふと思い立って彼に連絡をとります。
その時はまさか気の利いた返信が来るとも思っていなかったですし、私やくるりの幾つかの作品を聴いてくれるなどとは、まったく想像していませんでした。

私が作るハーモニー(和声進行)や旋法、リズムのアプローチは、彼から大きな影響を受けています。アカデミックで素晴らしいことはもちろん、ナポリ楽派の影響があるからカッコいいとか、そういうことよりも、親戚や兄弟のような安心感を覚えるその理由を、彼と一緒に音楽を作り終えた今でもいまだに分からずにいます。

これまでの人生において、何かを知りたい、分かりたいという欲求は決して止むことはありません。音楽家としてのキャリアをある程度積んだ現在も、何かを知ることを通して勇気や希望を得ることができます。

しかし、魂の心地良さというものは、おおよそ私のような凡人には理解できるようなものではなく、時には方便のように、出会いは運命だとか宝物だとか、タグのようなものを付けたりします。私にとってこの出会いは、まるで人生という走馬灯の中にある必然の流れとして、とても自然に彼との出会いを受け入れています。

彼はとても優れた音楽家で、とても人間らしくチャーミングであり、ナポリの土壌と文化に深く浸かった作曲家/演奏家であります。彼の側にいる数多くの演奏家たちもまたとても魅力的で、今回の音楽制作と録音をするなかで、私は日本から遠く離れた(ようで繋がっているような感覚がある)ナポリの街やイタリアの文化のことをとても好きになりました。

この作品を通して、あるいはそれに対する具体的な解説をすることはとても難しいことですが、私は遠く離れた国で活躍する彼と、魂のやり取りを続けている今日という日を心から祝福し、今後の音楽活動の糧にしていく所存です。

表題曲『La Palummella』はナポリ民謡を基に作られた、古いオペラのアリアです。日本では「カンツォーネ」として『帰れソレントへ』や『サンタ・ルチア』などが有名で広く知られていますが、私たちはこれらの旧いモチーフに向き合い、イタリア語に堪能な盟友、野村雅夫氏の協力のもと日本語訳詞を仕上げました。
ナポリ伝統のリズム・アプローチならびにDanieleによる有象無象様々な音楽を混ぜ合わせたアプローチで、楽曲は完成しました。

そして、個人的にとても思い入れがあるくるりの過去作品『キャメル』を彼のプロダクション/編曲のもと再構築し、新たな作品として完成させました。
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