「ロッチ事件」の真相に、『ガンダム』との意外なつながりまで!「コスモス・ネヴァー・ダイ 1977-2014」レポート

「ロッチ事件」の真相に、『ガンダム』との意外なつながりまで!「コスモス・ネヴァー・ダイ 1977-2014」レポート

 コスモス 宇宙(そら)を駆け抜けて~♪ と、その昔、戸田恵子が歌っていたけど、その歌詞のまんま80年代を駆け抜けて因果地平に旅立っちゃった企業こそ、株式会社コスモスである。同社は1977年に設立され、自社オリジナルのカプセル自販機やボックス自販機を全国展開することで急成長を遂げた玩具メーカーである。「コスモス」と大きなロゴがプリントされた真っ赤な機械は、一度見たら忘れられないインパクトを放っていた。

 そんなコスモスが販売していたのは、スーパーカー消しゴムやキン消し、チョロQ、ルービックキューブ、芸能人グッズなど、当時の子供たちが欲しくて欲しくてたまらなかった玩具......の"パチモン"をはじめ、溶けかけた将棋のコマ、暗闇の中で発光するうんこ、血痕も生々しい切断された小指......の玩具などなど、なんだかよくわからないジャンクなアレやコレ......。一見、ガラクタに見えるかもしれないが、だがしかし! コスモスは、そんな玩具と一緒に夢と希望をカプセルに詰め込んで販売していたのだ! 少なくともガチャを回す瞬間の僕らの胸は、期待ではち切れんばかりだったはずだ(その期待を粉々に打ち砕いたのもコスモスだけど)。

 そんなコスモスが世に放った「コスモスグッズ」や、当時を知る関係者たちへのインタビュー。さらに門外不出の会社資料など、コスモスとはいったい何者だったのかを詳細に知ることができる奇跡の一冊『素晴らしきインチキ・ガチャガチャの世界―コスモスよ永遠に―』(本書は『愛しのインチキ・ガチャガチャ大全―コスモスの全て―』に続く「コスモス」本第2弾)が、今年7月19日に双葉社より発売された。それを記念してのトークイベント「コスモス・ネヴァー・ダイ 1977-2014」が、9月8日、東京・阿佐ヶ谷ロフトにて開催された。

 登壇したのは屈指のコスモスコレクターであるワッキー貝山氏、ライターの池田浩明氏という著者2名のみならず、今もなお各地に残るコスモスの自販機を回収し、レストアした後、今の玩具を詰めてまわっているというコスモスベンダー社の奈良和広氏、コスモス愛あふれるグッズを制作するデザイナー・ケチャップアーツといったディープな面々。この4人によって、コスモスのヴェールが次々と剥がされていった......!

■ワッキー貝山秘蔵のお宝コスモスグッズが登場!

 会場には、当時のまんまきれいにリペアされたコスモスのカプセル販売機とボックス販売機が鎮座。開演を待ちきれないコスモスファンたちは、次々と硬貨を投入。何年たっても相変わらずしょ~もない玩具を吐き出しまくるコスモスに、誰もが懐かしさと諦念がないまぜとなった笑顔を浮かべていた。「これこれ、これがコスモスなんだよ。」と、井之頭五郎(by『孤独のグルメ』)よろしく心の中でつぶやいたりしているうちにイベントは開幕。

 ステージには、この日MCを務めるDJ急行氏とセラチェン春山氏が登場。ロフト系列のイベントではおなじみの2人の司会で、まずは貝山氏と池田氏も姿を現し、おもむろにコスモストークをスタート。次々とお宝だかガラクタだかよくわからないグッズが姿を現す。なぜか外装部分に算数の公式がプリントされている「チョロQ」、その正体は今も謎に包まれている「マホーの砂」、一体誰が得するのか「ジュースのしみ」、全身が真っ赤に染まった「ウルトラマン」......。脱力系の玩具が止めどなく紹介されていく。紹介されるラインナップもさることながら、これだけのコスモスグッズをそろえている貝山氏にも脱帽だ。

 しかし、ただのグッズ紹介に終わらないのが今回のイベントだ。とりわけ、今や日本を代表するSFロボットアニメ『機動戦士ガンダム』本放送時、コスモスはスポンサーとして公式キャラクターグッズを制作していたという衝撃の事実が説明されると、会場は観客の驚きの声に包まれた。『機動戦士ガンダム』といえば視聴率不振からアニメは打ち切りとなったものの、放送終了後、バンダイから発売されたプラモデルが大ヒットし、一大センセーションを巻き起こしたことを知る人は多いだろう。そんなガンダムにいち早く目を付けたコスモスは、実はかなりの目利き企業だったのではないだろうか。......まあ、その後の『ガンダム』ブーム時にコスモスは、「ダンガム」なんていうパチモンフィギュアを作ってはいたけど......(ちなみにこの時に使用された金型は、本放送時に作ったオフィシャルものだった......というから話はややこしい)。

■ロッチはコスモスだけじゃなかった......! 衝撃の真実に会場は驚愕

 イベントは後半戦に突入。ここからは今もコスモスの自販機に玩具を詰めてまわっているという奈良氏と、ケチャップアーツ氏が登場。コスモスマーク入りの社員用ネクタイなどの、超プレミアアイテムが紹介された後、話題はいつしか「ロッチ事件」の顛末へと展開していく。

「ロッチ事件」とは、80年代半ばよりお菓子メーカー・ロッテが発売した「ビックリマンシール」の偽物をコスモスが販売し、それが摘発されるという事件のことだ。偽物シールは、裏面に記される「ロッテ」マークが「ロッチ」と改ざんされていたことが、この事件名の由来だ。

 この事件は当時の新聞でも大きく取り上げられ、数千万円の罰金と数名の逮捕者を出したことから、今でも記憶に残っている人は多いだろう。しかし、もともとビックリマンシールの偽物を作っていたのは別の業者で、当時ほかにも偽ビックリマンシールを作っていた企業が複数存在。コスモスはその一社に過ぎなかったが、たまたま警察にマークされスケープゴートになったというのが、今回の書籍に書かれていた内容だ。

 その顛末を、改めて当時の思い出とともに語る奈良氏。その口から語られる、あまりにも生々しい現場のエピソードに、観客もじっと耳を傾けるばかりだ。これぞ80年代ホビーのアンダーグラウンド。こういう機会がなければ、決して表に出てくることはない日本の玩具史のもう一つの顔である。

 イベント終盤、貝山氏より「書籍に掲載されている何倍もの写真を撮っています。集大成となる第3弾を出したい」という続巻への意欲に満ちたコメントが発せられ、会場は大いに盛り上がった。いまだその全貌が明らかとなっていないコスモス。同社の歴史とその実態を知ることは、華やかなオリジナルコンテンツを世に放ってきた大手玩具メーカーを追いかけるだけでは知ることのできない、いまだ日本が清濁あわせ持っていた80年代のホビーシーンの実態を知ることなのかもしれない。

 オリジナルとは何なのか、コンテンツを生み出すとはどういうことなのか。その答えのヒントがコスモスには潜んでいるのかもしれない。潜んでいないかもしれないけど。期待しすぎるとたいてい肩透かしを食らう。それがコスモスなのだから。
(取材・文/有田俊[シティ・コネクション])

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