人気が過熱するオタク青春群像劇『アオイホノオ』 ドラマ版では描かれなかった原作エピソードを探る!

人気が過熱するオタク青春群像劇『アオイホノオ』 ドラマ版では描かれなかった原作エピソードを探る!

――テレビっ子なアニメライターが、アニメ以外のオタク必見なテレビ番組(ドラマ・映画・バラエティその他もろもろ)をご紹介! 今日も(ボビーじゃなくて)テレビに首ったけ!!

■『アオイホノオ

 現在、テレビ東京系列で毎週金曜深夜に放送中のドラマ24『アオイホノオ』。島本和彦さんの同名マンガを原作とし、マンガ家デビューを目指す大学時代の島本先生をモデルにした主人公・焔モユルと、後にガイナックスを結成するメンバー達との切磋琢磨するオタク青春群像をコミカルに描いた作品です。

 約35年も前の時代を舞台としていながら、さまざまなマンガ・アニメからの引用、また現在活躍中のクリエイターの方々の知られざるエピソードが語られる内容の面白さと俳優陣のテンションの高さから、マンガ・アニメファンのみならず一般層にもファンが広がりつつあるこの『アオイホノオ』。

 原作・ドラマともに巨大な活字で「この物語はフィクションである」と断りが入っていますが、それでもやはりドラマ化にあたってはさまざまな権利をクリアせねばならず、また時間的な都合もあって、マンガで描かれながらもドラマ版では触れられていないエピソード・人物が多々あります。今回はそれらのドラマ版でカットされたさまざまなネタについて解説したいと思います。

 まず、ドラマ冒頭から登場するモユルの友人の高橋。マンガでは仮面ライダー風お面を常にかぶっているコスチューム自作マニアとして描かれていますが、高橋がドラマでは普通の青年として描かれています。メガネ着用なのが仮面の名残なのでしょうか? 原作では『仮面ライダー』関連のネタは比較的多く登場するのですが、ドラマではセリフのみで映像的には一切触れられていません。公式サイトのキャラクター紹介欄では、原作のキャラとドラマのキャストを並べて紹介しているので、雰囲気を確かめるのも一興でしょう。キャラクターの名の表記が、マンガとドラマで変わっているのもポイントです(本稿では基本的にドラマ版の表記を用いています)。

 次に庵野ヒデアキと山賀ヒロユキが、アパート近くの工事の騒音があまりにうるさく、赤井タカミに誘われ同じアパートに引っ越しするエピソード。原作4巻では赤井が「同じ下宿の西森くんがでかいTVも持ってるし」と発言しています。以降まったく触れられることはないのですが、この"西森くん"なる人物はテレビ版『超時空要塞マクロス』の演出助手でデビューし、その後『機動武闘伝Gガンダム』『新機動戦記ガンダムW』『機動新世紀ガンダムX』『∀ガンダム』などの絵コンテを手がけられたベテランのアニメ演出家、西森章さんだとされています(実際に入居したのはアパートではなく大学の寮だという説もあり)。西森さんは最近でも『ご注文はうさぎですか?』『いなり、こんこん、恋いろは。』『東京ESP』などに携わっており、読者の皆さんも知らずに西森さん演出のアニメを視聴していそうですよね。

 さて、最近のドラマ版は原作コミック4~5巻あたりを描いているのですが、このあたりも大幅に省略されたエピソードやキャラクターがあります。焔が体力増強と原稿用のコピー機を目当てに空手道場に通うくだり、これは全面カット。ドラマ中で部屋の中で腕立てをしたりする描写があるのですが、これは本来道場に通う話からの流れでした。それに伴ない、空手で戦うロボットアニメ『闘将ダイモス』やライダーキックを考察するあたりもなくなっています。

 山賀ヒロユキの妹が兄たちの住むアパートにやって来て、全裸の赤井タカミに遭遇するエピソードは、原作とドラマで時系列が前後入れ変わっています。原作コミックスでは5巻の出来事ですが、ドラマではだいぶ前へ置かれています。

 ドラマの第7話では、焔モユルが自動車教習所に通い免許を修得するエピソードが描かれました。これは原作コミックスでは数巻に渡り描かれていたのですが、ドラマではほぼAパート分程度に圧縮。試験に何度も落ち、無駄に使った受験料で当時最先端のウォークマンが買えたのではないか......? と焔が悩むシーンや、直後の宮下あきらの『激!!極虎一家』(集英社)、テレビアニメ『ドラえもん』に関するシーンも完全にカットされています。これについては、なんとなく事情を察することができますね(笑)。

 そのほか、焔が下宿にコタツを買うエピソード。部屋にやってくるのは原作ではとんこさんですがドラマ版では津田ヒロミに変更されるなど、細かな違いをあげていけば枚挙に暇がありません。

 現在ツイッター上では、ドラマの公式アカウント(@tx_aoihonoo)以外にも 島本かず彦先生(@simakazu)、福田雄一監督(@fukuda_u1)や劇中のマンガ原稿やアニメ原画を担当されている一本木蛮さん(@bang_ipp)がドラマ放映中・放映後に逐一その回に関するネタ解説を行っておられます。また 岡田斗司夫さん(@ToshioOkada) も、ドラマ実況に加えてテレビ東京のデータ放送でリアルタイムで解説を担当しておられます。こうした方々の解説を参考に、ドラマ視聴後に原作マンガを併読すると『アオイホノオ』の背景をよりワイドに楽しむことができると思います。

 実は筆者は『アオイホノオ』登場人物の何人かを取材させてもらったり一緒にお仕事させていただいたことがあるのですが(島本先生ご本人ともな!)、自分の知る限りドラマ版のキャストは、マンガのキャラクター+モデルとなった方のキャラクター+俳優さんご本人のキャラクターがミックスされ渾然一体となったハイブリッドな人物像になっており、架空でもないドキュメンタリーでもない特殊なリアリティをドラマに与えることに成功していると思います。願わくばこのキャストを継続しつつ、いずれは『燃えよペン』『吼えろペン』(小学館)へと続く一大サーガへ続いてゆけば楽しいのになぁ......と思いつつ、9月いっぱいで終了するドラマ版の残り数回を楽しませてもらいましょう。
(文/出口ナオト)

■『アオイホノオ』
http://www.tv-tokyo.co.jp/aoihonoo/

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