完結宣言(仮)で話題の『美味しんぼ』――ネットで意外と知られていない“あんな話題”8選

完結宣言(仮)で話題の『美味しんぼ』――ネットで意外と知られていない“あんな話題”8選

しかし、いくら何でも連載30年は長すぎだ。」
「今までの登場人物総出演で、美味しい食べ物の話でどんちゃんどんちゃん楽しく騒いで大団円。」

 福島第一原発を見学した主人公の“鼻血シーン”が物議をかもしてから約2年、休載が続いている『美味しんぼ』(小学館)。その原作者の雁屋哲氏が3月22日、作品完結を強く匂わせる記事を自身のブログに投稿(http://kariyatetsu.com/blog/1762.php)し、ネットで話題となった。 

 予想外の反響に驚いたのか、続く24日には「あくまでも再開したとした場合の私の希望でしかないことを改めて強調します。」「スピリッツ編集部とそのような話し合いはしたことはありません。」(http://kariyatetsu.com/blog/1765.php)と、仮定の話を書いたにすぎないことを明かした。

 こうして完結宣言が幻に終わった『美味しんぼ』だが、連載スタートから33年を数えた今でもなお、ネットで注目を集める存在であることには驚かされる。その一方、コミックスは現時点で111冊の大ボリュームに達しており、「途中から読まなくなった」「そもそもネットの情報でしか知らない」という人も多いのではないだろうか。

 そこで今回は既刊コミックスを人力作業で調べあげ、“ネットユーザーが意外と知らない”、または“ネット情報のせいで誤解されている”『美味しんぼ』の豆知識をいくつかピックアップし、紹介したい。

 主人公の山岡士郎が取り組む「究極のメニュー」と、海原雄山が創りあげる「至高のメニュー」対決は父子の深い因縁も絡んだ、『美味しんぼ』の柱ともいえる要素だ。しかしどう終わったのか、そもそも決着はついているのか、ご存知であろうか?

 結論を言えば、山岡vs雄山の究極・至高対決は、第102巻で区切りがついた。完成と呼べる域に達した双方のメニューを、対決という形で読者に報告するというのが表向きの目的で、さらに山岡の妻である栗田さんは「父子の和解」を裏の目的として動いていた。こうして定められた対決テーマは、今までのように食材ごとの味比べではなく、「どれだけ対戦相手を喜ばせられるか?」という超難問。

 長年にわたり互いに反目しあっていた山岡と雄山が、その相手を料理で喜ばせなければいけないことになったのだ。出されたメニュー内容や結果は伏せるが、事実上の最終決戦ということで素晴らしいエピソードに仕上がった。

 究極と至高の勝負は第103巻以降も「日本全県味めぐり」の形式で続いている。ただし山岡、雄山ともにメイン担当者から補佐役へと退き、それぞれ有望な後進にメニューの発展を託すこととなった。

■「日本人も悪いんですよ」は誰のセリフか?
『美味しんぼ』が反日色の濃いマンガであるとして、「日本人も悪いんですよ」というセリフがしばしば例に挙げられる。ネットでは山岡の発言として認知されている(ご丁寧にアスキーアートまである)が、コミックを読み返した限り山岡がそれを発したシーンは確認できなかった。

 代わりに見つかったのが、華僑の周大人が「しかし日本人も悪いんですよ」と話すシーン。これは「中華料理人が慢心して腕前が落ちるのは、マスコミの評判だけで行列を作る客の側にも原因がある」といったニュアンスの発言で、政治的な意図はない。

 たしかに『美味しんぼ』には、日本を歴史問題などから非難する記述が少なくないが、「日本人も悪いんですよ」発言については濡れ衣の可能性が高そうだ。

■海原雄山と大原社主の性格は逆だった
 苛烈だが人格者であり最高峰の芸術家、山岡にとっては乗り越えるべき壁である父親・海原雄山。直情的で短慮、トラブルメーカーな東西新聞社の大原社主。まったく対象的な2人のキャラクターだが、連載初期は性格が反対だった。大原社主はどっしり構えて深く物事を見通す大人物。雄山は「わあっはっはっは!」と下品に笑い、何かにつけ山岡を挑発する嫌味な男として描かれていた。

 だが、やがて山岡の強力なライバルとして立ちはだかる必要性からか、雄山はパーフェクト超人に変貌。似たような体格・服装・社会的地位の大原社主はキャラかぶりを防ぐためか、愛すべきダメ人間へと転がり落ちていった。彼らに限らず『美味しんぼ』の登場人物は容姿や性格の変化が激しく、30年以上の歴史をあらためて感じさせられる。

■料理万能説
『美味しんぼ』の世界では特定の料理を食べることで、どんな人間関係も修復され、国の政策が変わり、病気が治癒する。第1巻で認知症の老婆が、昔ながらの方法で育てられた鶏肉を食べただけで全快したシーンはネットでも伝説となっている。

 さらに、第83巻では末期ガンの患者がうまい豚肉をたらふく食べただけで完治したエピソードが登場。もはや完全に医者がいらないレベルにまで進化した。

■独特の味覚表現
『美味しんぼ』の登場人物は、物を食べた人間が特異な表現を用いる場合がある。代表的なのは、ヒラメの刺身を食べた栗田さんの「シャッキリポン」。これがどんな味覚を表すのかいまだに判明していない。ネットではシャッキリポンばかり有名だが、他にも絶妙な食感を表現する「ふうわり」、常用語ではあるが、最近はあまり使用されることのない、エグみを表現したと思われる「えごい」、喉に悪そうな「いがらっぽい」なども、作中では健在だ。

■驚異的なカップル成立スピード
 あまりネットでは話題にされないが、サブキャラの男女が交際・結婚に発展するまでの期間が尋常ではなく短い。週刊連載の1話分(約20ページ)でくっついたカップルは数知れず。恋愛フラグが立ってから挙式までリアル時間で10年以上かけた山岡とは大違いだ。

 ただしスピード恋愛の代償として「旅先で一目惚れした男を探し当ててみれば、相手もこちらに一目惚れしていた」など、ご都合展開になってしまっている場合も多い。

■コラと思っていたら本物だったでござる問題
『美味しんぼ』がネットユーザーを長年悩ませ続けている大きな問題――それは“本編がネタまみれすぎてコラ画像と区別がつかない”という点。前述した「鶏肉で認知症が完治した」のを含め、そのほとんどがコラではなく本物である。

・うつ病の岡星(友人であり、料理研究の最大の協力者)に向かって山岡が「じゃあ死ねよ」と言い放つ

・仲直りのため料理を作ってくれようとした山岡に対し、妻の栗田さんが「じゃ、こうしましょう。用意した料理が、美味しければ許す。まずかったら死刑」と笑顔で話す

・海原雄山が「この中から(最高の牛を)一頭選んでみろ」と山岡に命じながら、自分は「私はあの中から選ばない」と前提条件をひっくり返す

・評判のカレー店に入った雄山が店主に「まず第一にカレーとはなにか?」など、味と無関係な質問を浴びせ続け、勝手に落胆したあげく食べずに去っていく

・実業家の京極さんが、山岡が手を尽くして用意した鮎のテンプラに対し「これに比べると山岡さんの鮎はカスや」と言いきる。雄山の鮎のほうが優れていたとはいえあんまりである

 上記はほんの一例だ。また逆に、“本物と思われがちだがコラだった画像”も数少ないながら存在する。

 第86巻、山岡と栗田さんの子供、つまり孫2人が胸に飛び込んできて、雄山に「じいじい」「ちゅきちゅき」と甘えているシーン。だらしなく雄山の目尻が垂れ下がって満面の笑みを浮かべた画像がネットにアップされているが、これはコラである。

 実際には慣れないスキンシップに困惑しつつ、孫たちを気遣う至高のツンデレぶりを見せつけた。

■山岡と栗田さんのメタ発言
『美味しんぼ』作中で、山岡と栗田さんだけは、自分たちが架空のキャラクターであることを認識している。コマの外へ向かって「読者のみなさん」や「あなたの好きな○○料理は何ですか?」などとメタ的に語りかけるシーンが見られた。

 だが連載が長期化するにつれ作品内のリアルとフィクションが混ざり合っていき、鼻血描写が騒がれた「福島の真実編」では、“架空のキャラクターと実在の人物が同じコマ内で、現実の問題(原発事故)について論じる”という複雑きわまりない状態になった。

 虚構と現実の区別をあいまいにしたまま「被ばくのせいで鼻血が出た」と断定したことが、日本中を巻き込む炎上騒動の一因になったのではないだろうか。
(文/浜田六郎)

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