松岡茉優の「おこだわり」が実現!でも本当に一番「おこだわってた」のは誰?『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』

松岡茉優の「おこだわり」が実現!でも本当に一番「おこだわってた」のは誰?『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』

 テレビ東京系で放送され、先日最終回を迎えた『その「おこだわり」、私にもくれよ!!』。女優の松岡茉優と伊藤沙莉が本人役で出演し、毎回ゲストを迎えて、その「おこだわっていくこと」を紹介していくという番組だった。

「だった」というのは、第1話を見た私の感想がそうだったからである。しかし、回を重ねるごとに番組は意外な展開を見せていき、壮大なラストへとつながっていった。

 もちろん、このキャスティングと「テレ東深夜」という時間帯、そして監督の松江哲明。これだけの条件がそろえば、一筋縄ではいかないことは想像がつく。

 そして、毎回出されるテロップ「このドキュメンタリーは、フィクションです」この言葉の意味を考えさせられる番組だった。

 松岡と伊藤の確執、それぞれの番組に向き合う姿勢、思わぬ形での八嶋智人の登場、そして松岡の抱いていた夢。

 フィクションではありながら、ドキュメンタリー風に(というか、明らかにドキュメンタリーの部分もあったと思う)作られており、主演2人の演技力もあって、その微妙な風合いを味わうという楽しみ方ができた。

 おそらく、この番組は「ここからここまでがフィクション」という作り方ではなく、「この部分は50%フィクションの、50%ドキュメンタリー」といったように、気持ちの入れ方の割合で作られているのだと思う。

 最終回に向けてのメインは、「モーニング娘。」の大ファンである松岡茉優自身の「おこだわり」だ。番組を通し、さまざまな「おこだわり」に触れた彼女は、「一体自分がこだわっているものはなんだろう?」と自問する。

 そして出た答えが「モーニング娘。に加入する」というものだった。

 そして彼女は女優を辞めて、モーニング娘。に入るべく動き出す。

 ちなみに、この時期、所属事務所のホームページ・松岡茉優の項には実際に「モーニング娘。'16に加入するため、ヒラタオフィスを退社することになりました」との記載があった。

 事務所も巻き込んでの大がかりなフェイクドキュメンタリー。ここまでやれる事務所もあっぱれだ。

 さて一方の松岡。

 初めてモーニング娘。'16と対面する時、松岡の緊張はピークに達する。見ている我々にも緊張が伝わってくるシーンだ。

 最初は「ここは天国だ」といって喜ぶ彼女。しかし練習が進むにつれ、彼女の目の輝きが変わってくる。

 そしてライブを控えたある日、彼女は言う。

「私の中で『モーニング娘。』を見て涙を流す自分は死にました」

 この言葉こそが、フィクションだけではない、彼女の心の中にある確かな変化を捉えた、リアルな言葉だと思った。

 ステージに立った松岡茉優は完璧だった。

 アイドルとして完璧だし、女優として完璧だった。

「長年の夢を叶えた」という喜びを自身の演技に乗せて、全力でパフォーマンスした。

 とにかく「すげぇ!」って思った。松岡茉優も、伊藤沙莉も、モーニング娘。'16も。

 当然、番組の企画とはいえ、ライブで下手なパフォーマンスは見せられない。ましてや、松岡にとっては長年憧れていたグループだ。

 ここで、フィクションとドキュメンタリーの境目が見え隠れする。

 台本として書かれている(であろう)部分に、松岡が自分のリアルな気持ち(モーニング娘。になりたい)を乗せる。

 実は、この「フィクションを通して夢を叶えていく」という手法、松江監督の作品ではおなじみのものなのだ。

 2007年の映画『童貞。をプロデュース』では、元アイドル島田奈美にあこがれる童貞少年の夢を叶えようと奔走し、09年の『あんにょん由美香』では、台本にあって撮影されることのなかった幻のラストを撮影しようと試みる。

 そして今回。「モーニング娘。とステージを共にする」という松岡の夢を、本当に叶えてしまった。

 そこには、単にフィクションとして描かれた「夢を実現」を超えた、もっともっとリアルな感動があった。

 本番を終え、手を取り合って走り出す伊藤と松岡。

 たどり着いたのは、会場近くの船上。そこでは、これまで番組に関わった人たちが待っており、2人を祝福する。「おこだわり」のテーマをみんなで歌い、踊って大団円。そして、続編の予告テロップを持って叫ぶのだ。

「また10年後!」

 この楽しそうで、満足げな空間。それを本当に作り上げたかったのは誰なのか? 何のことはない、一番の「おこだわり人」は松江監督自身なのである。

 そのバカバカしさを、そのくだらなさを、そしてその素晴らしさを、この番組を通して教えてくれたのは、誰あろう松江監督自身だった。

 私たちは何かに「おこだわって」生きているだろうか?

 正直、この番組に出てきた「おこだわり」人は、みんなかっこ悪かった。

 偏執的に何かにこだわる姿が、常人には解せないことばかりで、異質な感じはぬぐえなかった。

 でも、番組を通して見ればわかる。そのかっこ悪さこそが最高にかっこいいのだ。

 どうせならさ、できるだけつまらないことにトコトンこだわって生きてみようぜ!
(文=プレヤード)

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