「最近は静物画を描いています」「最初は人体解剖図から」いよいよ始まったCG児童ポルノ裁判控訴審、たったの7分で結審

「最近は静物画を描いています」「最初は人体解剖図から」いよいよ始まったCG児童ポルノ裁判控訴審、たったの7分で結審
拡大する(全1枚)

 12月1日、CGで描かれた少女のヌードが児童ポルノに該当するか否かをめぐって争われている「CG児童ポルノ裁判」の控訴審が、東京高等裁判所818号法廷で開廷した。

 本サイトでも継続して取材しているこの裁判は、2013年7月に岐阜県在住のデザイナー・高橋証さんが作成し、メロンブックスを通じてダウンロード販売したデジタル画集『聖少女伝説』『聖少女伝説2』が、「過去に販売されていた少女ヌードの写真集をスキャンし、加工して販売した」として、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で逮捕されたことによって幕を開けたもの。

 高橋さんは「参考のために取り込んだ画像はあるが、すべてPhotoshopで一から描いたものだとした。またその作成目的は、写真ではできない技法を使い理想の人体を描くことを目的としたものである」として、無罪を主張した。

 しかし、今年3月15日、東京地裁は「作成経緯や動機を踏まえ、重要な部位において、一般人が実在の児童を忠実に描写したと認識出来る場合は、実在の児童とCGの児童が同一と判断できる」と、高橋氏に対して懲役1年罰金30万円、執行猶予3年(求刑は懲役2年罰金100万円)の有罪判決を下したため、高橋さんは「不当判決」として、控訴していた。

 1日から始まった控訴審は、裁判長裁判官・朝山芳史、右陪席裁判官・杉山愼治、左陪席裁判官・市原志都、検察官・和久本圭介の構成。果たして、裁判の行方はどうなるのか……。

 地裁の審理の時から明らかだったが、この裁判に対する世間、とりわけ「表現の自由」云々を主張するのが好きな人々の関心は低い。

 地裁の審理では、当初は行列ができたものの、途中からはガラガラである。この裁判と、ほぼ同時期に始まり、この裁判の弁護団の主任弁護士である山口貴士弁護士が同じく主任弁護士となっている「ろくでなし子裁判」が、多くの支援者を集めたのとは、好対照だ。

 そんな寂しい雨の中、法廷の前にたどり着いたのは開廷1時間前の午前10時。誰もいない寒い廊下で裁判官の名前を新聞検索サイトで調べていると、弁護団の奥村徹弁護士が到着する。挨拶した後に、奥にある待合室でなにやら仕事の電話をしている奥村弁護士。聞き耳を立てずとも会話の内容が聞こえてしまうので、筆者は法廷の入口前の廊下にいたのだが、それでもずっと電話の声が聞こえてくる。この建物は、やたらと人の声が響くのだ。

 10時30分になり、ようやく傍聴者らしき人が1名。そして、また何も動きがないままに、時間だけは過ぎていく。10時40分になり、弁護団が2名。傍聴人は来ない。

 10時44分、早くもドアが開き傍聴人の入廷が許可される。ようやく弁護団も揃い始める。

 弁護団は7名。緊張気味に汗を拭っている高橋さんに対して、弁護団はずっと雑談してリラックスしている雰囲気だ。暖房もたいしてきいておらず寒い法廷で汗をぬぐっているのだから、相当に緊張しているのであろう。

 そのまま時間は過ぎ、開廷直前になって弁護団が一名増える。椅子が足らず、すぐに事務官が椅子を追加してくる。

 11時、裁判官が入廷。傍聴者は6人、司法記者クラブ所属の記者が7人。それ以外の取材者が筆者ともう一人。弁護団の席ばかりが賑やかな妙な雰囲気である。

 朝山芳史裁判官は、老練な雰囲気の人物。年齢相応の、少し抑えた声で弁論を始める。

 弁論とはいえ、これは控訴審。弁護団や地裁の判決に対して、新たな趣意書や陳述書などを提出する。また「弁何号証は~」と確認する作業。司法記者の一人は、早くも寝ている。

 開廷から7分、朝山裁判官は告げる。

「では、以上で弁論を終結します」

 控訴審は早いと聞いていたが、驚くほどの早さである。裁判官は判決期日を指定し、高橋さんに出頭の義務はないなどの事務的な説明を行う。

 待っている時間のほうが長い裁判。ホッとした顔の高橋さんに「このためだけに、岐阜から呼び出すとは……」と声をかけると、噴き出すように笑う。

 高橋さんは、体格のよい木訥な人物である。無口で控えめな雰囲気で、出会った人は「真面目な人」という印象を得るだろう。もちろん、彼が逮捕された理由となった作品を見ると、単にそれだけの人物ではないことがわかる。人によっては、相当な気合の入った変態である。少女の絵画を、ひたむきに描いてきた筋金入りのロリコンの変態……そんな風に見る向きもあるだろう。

 実は筆者も「この人は、一種の筋の通ったロリコンなんだろうな」と思っていた。だから、高橋さんだが、もう少女のヌードを描くことに興味を失っていることを語ったのには、少々驚いた。

 それからしばらく経った現在、どんな作品を制作しているのか尋ねてみた。すると高橋さんは「最近は静物画を描いているというのだ」。

 そもそもが少女を描くことによって興奮を得ているのではなかったのか。そう尋ねてみると、笑いながら否定された。

「少女を描きたいのではないのです。自分が惹かれているのは人間の肉体です。ですので、年齢はもちろん、性別も関係ありません。ただ、これまで題材に少女が多かったのは肉体の幅が広いからなんです。男性の場合だと、どうしても筋肉の付き方などは決まった形になります。ところが女性の場合には裁判でも争点になった乳房の大きさとか、肉体の幅が広いんです」

 つまり、高橋さんは本気で肉体を描くことに、性欲とは違うベクトルの興奮を見いだしていたのだ。ならば、いつからそのようなものに惹かれるようになったというのか。

「思春期前から人体解剖図を見て、エロティックな感覚を覚えていました。ただ、それが何かわからないままに、ずっと肉体を描き続けていました。こうやって、話すことができるのは、頭の中でモヤモヤしてきたものが、裁判を通して初めて言葉にすることができたからです」

 裁判を経て、長らく追い求めてきたものが、一旦ゴールを迎えたということだろうか。裁判の行方とは別に、次は何を描き始めるのかが気になる。

 控訴審の判決は、1月24日(火)午前10時30分より、東京高裁818号法廷で行われる。
(文=ルポライター/昼間たかし http://t-hiruma.jp/)

当時の記事を読む

おたぽるの記事をもっと見る

トピックス

今日の主要ニュース 国内の主要ニュース 海外の主要ニュース 芸能の主要ニュース スポーツの主要ニュース トレンドの主要ニュース おもしろの主要ニュース コラムの主要ニュース 特集・インタビューの主要ニュース

もっと読む

トレンドニュースランキング

トレンドランキングをもっと見る

コメントランキング

コメントランキングをもっと見る

このカテゴリーについて

注目の最新アニメ情報、マンガ情報、人気声優情報などアニメファン必見のニュースをお届け中。

通知(Web Push)について

Web Pushは、エキサイトニュースを開いていない状態でも、事件事故などの速報ニュースや読まれている芸能トピックなど、関心の高い話題をお届けする機能です。 登録方法や通知を解除する方法はこちら。

お買いものリンク