アクシーズ論争に終止符! “オタク女必見”現役スタイリストに聞く「アクシーズ着こなし法」

アクシーズ論争に終止符! “オタク女必見”現役スタイリストに聞く「アクシーズ着こなし法」

 オタク女のファッションを図解した「オタク女のファッションチェック」はネット調べるといくらでも出てくる。視線は意地悪なものが多く、実質「(いけてない)オタク女のファッションチェック」だ。しかし、オタク女のファッションチェックをするくらいだから、描いた当人も同人誌即売会で見たオタク女たちを分析しているということになり、分析された側にしてみれば、いそいそと同人誌を物色していた背中を撃たれた状況だ。そうしてこのような際にやり玉にあがりがちなブランドが「アクシーズ」だ。本記事では、いかにアクシーズを着こなしていくか、スタイリストの観点から伝えていきたい。

■「オタサーの姫が着てそうな服」

 アクシーズを知らない人にアクシーズを説明しようとすると、「オタサーの姫が着てそうな服」が一番端的な気がする。アクシーズの正式名称は「axes femme(アクシーズ ファム)」。リボン、フリル、レース、ギャザーのたっぷりよったスカートという少女の夢の世界を三次元化したアパレルメーカーで、ユニクロやしまむらほどは巨大ではないものの、大型ショッピングセンターに行くと結構入っている。ここに女の子がいると50メートル先から見てもわかるような服のデザインをしており、オタサーの姫がアクシーズを着る理由もそこにあるだろう。そしてそれゆえに、アクシーズを見つめる厳しい目線も存在するのだ。

 まず、同人誌即売会はファッション雑誌の街頭スナップでカメラマンに声をかけられるようなファッションをしている人が“イケてる”場所ではない。満足いく同人誌を作れた人や、心待ちにしていた同人誌を手に入れた人、まんまともくろみ通り「完売はわわ」を達成した人など、同人誌がらみで満足している人間が同人誌即売会において“イケている”のであり、そこにファッションセンスというものさしを持ち込む方がどうかしている。あの場においてファッションセンスは些事だ。

 しかし些事ではあるが、まったく関係ないともいえない。「あのサークルさん作風だけじゃなく、作者もオシャンティー」とTwitterでつぶやかれたのをエゴサーチして悶絶したい人や、ほか、憧れのサークルに差し入れしたい人はその際に著しく清潔感に欠ける服装をしていると(特に差し入れが食品の場合)もらう側にも不安がよぎるはずだ。あの場では同人誌のことだけ考えればいいなら、風呂に入って歯を磨いて洗濯された肌着を身に着ければ問題ない。ただし、あの場所で、気にされたい誰かがいる(不特定でもよい)ならば、ファッションセンスについても、同人誌を考えたあとの余力で考えていいだろう。

 ここでタイトルにも挙げた「スタイリスト」の登場になる。手前味噌で申し訳ないが、出てくるのは引き続き私だ。私の本業はライターだが、個人に向けたスタイリングの仕事もしている。若かりし頃の安住アナウンサーが司会をしていたTBSの情報番組『ジャスト』で、主婦がプロのスタイリストの手によって美しく変身するという「奥様スターに変身」という企画が非常に好きで、あれがどうしても自分でやる側になりたいと、個人に対しスタイリングを行うための技術を、専門学校で軽自動車が買えるくらいの金をかけ習得したのだ。実際スタイリング関連の仕事もしているので安心してほしい。

 個人に対してスタイリングを行う(パーソナルスタイリスト、イメージコンサルタントなどと呼ばれる)仕事をしている人は多く、ネットで探せばこういった仕事をしている人は簡単に見つけられる。流派、団体によって微妙な違いはあるが、おおむねこういった「スタイリング」にはやり方がある。人を以下のようにタイプ分けするのだ。

・女性らしい服装が似合う人
・可愛い服装が似合う人
・カジュアルな服装が似合う人
・きちんとした服装が似合う人
・かっこいい服装が似合う人

 タイプをいくつに分類するか、どうやってタイプ分けするかは流派によって違いがある(3タイプのところもあるし、7タイプ以上のところもある)。例えばひっつめ髪やタートルネックがすっきり似合う女優の深津絵里さんは「きちんとした服装が似合う人」であり、巻き髪にして胸の開いたワンピースが似合う鈴木京香さんは「女性らしい服装が似合う人」だ。脳内で二人の服装や髪型を逆にしたら、鈴木さんはもっさりと、深津さんは無理しているように見えてしまうはずだ。

「高いものを着ているわけでもないのに、なぜかすごくセンスがよく見える」人は、この似合うタイプと本人が一致している。一方で、「がんばっている、お金をかけているのはわかるが、なんだかちぐはぐで痛々しい」人は、似合うタイプを選べていない。ファッション誌を見ても、「かっこいいA美」「愛されB子」のように、モデルでキャラ分けがされているケースが多い。かわいい顔と抜群のスタイルを持つモデルにしたって似合うタイプの服があるのだ。

 なお、若ければ勢いで似合わないタイプも着こなせたりするが、大体25~30歳くらいで、「今まで着こなせていたはずのものが急に似合わなくなる」現象にぶつかる。これは、今まで着こなせていたのではなく、もともと似合わなかったが、若さの勢いで着れていただけだ。逆に言えば、似合うタイプは年齢を重ねるほど見つけやすくなる。

 ここで、「わたしはそんな既存のタイプになんて区切ることなんてできないユニークな存在、私はいわば「わたしタイプ」」などと言い出すと地獄のはじまりだ。「わたしなりのこだわり、遊び心」が入ってしまったゆえに、「あんなんだったら何も考えずユニクロのマネキンの服をそのまま着た方がずっとよかった」ファッションに身を包んでいる人は男女問わずよく見かける。錦織圭選手が遊びで股の間からラケットを出してボールを返したりするが、あれは、基礎をこなした達人だからできる遊びなのであり、素人が同じことをしたら股間にボールが直撃するだけだ。まずは黙って素振りからはじめたい。

 上記の5つのファッションのタイプのうち、1つに絞るのが難しい人は2つまでならいいが、3つまで選ぶと絶対混乱する。さらにポイントは「似合うもの」を選ぶだけでなく、上記5つのうち「これは自分には絶対違う」というものも見極めることだ。「似合わないものは着ない」ようにするだけで、ファッションは失敗しなくなるし、たんすの肥やしや、一度着ただけでメルカリ送りになる服も増えなくなる。

 どのタイプが似合うかわからないときは、具体的にそのタイプを象徴するアイテムを着てみるといい。例えば、ユニクロをはじめ多くのメーカーが今年の冬ざっくりと太い毛糸で編んだオーバーサイズのニットを出していたが、これが似合うのは「カジュアル」が似合う人だ。カジュアルが似合わない人がこれを着ると、「浪人生の冬、最後の追い込み」的風情になる。同様に、女性らしい服装が似合わない人はカシュクールのワンピースを着るとオネエっぽくなるし、かっこいい服装が似合わない人はパンツスーツを着ると「はりきりが空回りする地方の女性市議会議員」っぽくなる。

 こうやって「似合う」「似合わない」を見極めていき、「似合わない」タイプは無理に手を出さなければファッションは失敗しない。なお、「顔がかわいくないから「かわいい」ファッションは似合わない」とは限らない。似合うかどうかは顔面よりスタイル、肉の付き方に関係してくるからだ。なお、似合うファッションのタイプは太った、痩せたでは変わらない。

 気を付けたいのがトレンドの存在だ。ファッションのトレンドはカジュアルが続いているため、カジュアルが素敵っぽく見えてしまうのは気を付けておきたい。ざっくりニットを着ると浪人生に見えたり、チェックシャツを着るとアイダホ州のポテト農家に見えたり、おしゃれで首回りをあえてくたっとさせたTシャツを着ると貧乏臭く見える人は、全て本当はカジュアルファッションが似合わない人なのだ。これらで自覚のある人は、あきらめて別なファッションに進んだ方がセンスよく見える。

 ちなみに、それなら自分で判定できると思われた方もいるかもしれないが、自己診断は難しさもある。先ほどのトレンドに引っ張られるだけでなく、「私に女性らしい服装が似合うわけがない」といった「自分バイアス」がかかる人が少なからずいるからだ。男の人生も多分きついのだろうが、女の人生も相当きついのは実感している。幼少期からのコンプレックスと抵触していたりすると、自分バイアスは生涯のラスボスといっていい。

 さらに、よくある誤解のひとつは「モテたいからかわいいファッションを着る」というものだ。しかし、モテファッションとはその人が一番綺麗に見えるファッションのことだろう。「カジュアル」が一番似合う人はざっくりニットにジーンズ姿という、メンズライクなアイテムを着ているときが、フリフリの服を着ているときもかえって女性らしく綺麗に見える。モテたいから特定のアイテム(ツインニットとか)を着る、というのは雑誌でも見られるが、似合うファッションにタイプがある以上、万人が来て全員が似合うファッションアイテムはないと個人的には思う。

■「下半身」と「混ぜ込み」でアクシーズを着こなせ!

 以上をふまえて、アクシーズ着こなし法になる。アクシーズはどう見ても上記5分類のうちで「かわいい」ファッションだろう。アクシーズのアイテムに頻出する、大きめの丸襟、リボン、レース、たっぷりとよったギャザー、パフスリーブ(ちょうちんそで)、小花柄と、ディティールまでかわいいのストレート150キロ。デザインはメルヘンだがブレない漢気。ファンが多いのもこのブレなさ加減からだろう。アンチも産んではいるが、たいていの服飾ブランドはファンもアンチもいないのだ。「ここのものは無難だし」みたいな選ばれ方とは無縁のアクシーズには、ブランドとしての力がある。

 しかし、「カジュアル」が似合わない人は野暮ったくなったり、所帯じみて見える程度だが、「かわいい」は外したときのインパクトはでかく、ごまかしがきかない。具体的にどう思われるかはすでにネットで超えた遠慮のない意見が多数書かれているので省くが(暗くなるので見ない方がいいと思う)、「かわいい服装したかったんだろうな」という意図までが周りに伝わってしまうのだ。よって、先ほどのファッションの分類で「かわいい」が明らかに似合わないタイプの人は、「似合う」スタイルをしたい日はアクシーズをあきらめユニクロやZARAなどのファストファッションでそろえることを勧めたい。

 アクシーズが似合うタイプではないが、アクシーズを似合わせたい人にはまず下半身にアクシーズを集約させることをお勧めする。似合うアイテムは顔周りにもってくるとますます華やぐが、逆もまたしかりで、似合わないアイテムが顔周りにあると違和感が燃え上がり全身火だるまになる。ヘアアクセサリーなどまさにそうで、一時期極細のヘアバンドがはやったが、私がつけてみたところ、極細なのに「あなた、何か頭についてますよ」としか言えない風情になった。大ぶりのヘッドドレスに至っては、頭にセミが止まっているかのようだった。顔周り、上半身は似合うものをもってこないときつい。よって、かわいい要素が似合わない人はかわいいアイテムは下半身に持っていけば悪さをしにくくなる。せっかくのアクシーズをスカートだけじゃ気分じゃないという反論もあるとは思うが、「自分の気分」より「似合う」を優先させたい日は使ってみて損はないだろう。

 2点目はやや高等テクになり、「自分の似合うスタイルとアクシーズ(かわいい)を混ぜる」というものだ。例えば「かっこいい」ファッションが似合う人だったら、アクシーズのリボン、レースフリフリの、ジ・アクシーズなインナーを使うというのなら、残りは革ジャンやスリムパンツにスリムブーツ、鞄もクラッチバックなど、ひたすら残りは自分のホームである「かっこいい」で埋めていくという戦法だ。うまくハマれば「似合う」と「気分」を両立してくれるだろう。混ぜるときは半々にすると何がしたいのかがわからなくなるので、できればアクシーズ要素は面積的に「従」にし、自分の似合う方を「主」にすると失敗しにくくなる。

 ファッションのうれしさには「私の気分(着たいものを着る)を叶える」と「似合う」の二つがある。相手のいるビジネスファッションやフォーマルシーンで「私の気分」だけを優先させては常識のない人に写るが、これ以上ない心の解放の場でもある同人誌即売会では「私の気分」最優先だっていい。ただ、気分100%といける人はなかなか少なく「気分6、似合う4でいきたい」人も多いはずだ。「似合う」はどうしたらいいのかというときに、タイプ分けを思い出してもらえれば嬉しい。
(文/石徹白未亜 [http://itoshiromia.com/])

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