2021年度末の全国都道府県別「受信料の推計世帯支払率」をNHKが発表した。データによると全国の平均は78.9%で前年から0.1ポイントのマイナスとなった。

そして都道府県別に見ると、支払率トップとなったのは秋田県の97.9%で、最下位は11年連続で沖縄県となり、その数値は49.5%だった。驚くほど差がある支払率だが、そこには歴史的背景などが絡んでいるようだ。

NHKの受信料支払いは選べるべき?

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(Image:yu_photo / Shutterstock.com)

視聴率に縛られないため教養文化・教育・福祉など情報的インフラとなっているNHK

NHKは「公共放送」つまり「営利を目的とせず、国家の統制からも自立して、公共の福祉のために行う放送」であるとして民放とは一線を画してきた。受信料はNHKが政府から独立し、カネによる放送の支配から逃れるために必要な財源とされている。

「支払率ランキング」でぶっちぎりのワーストを飾っている沖縄県は、1972年までアメリカの統治下だったこともあり、受信料制度への理解が進まなかったことが要因で、長年に渡り支払率は低い水準にある。沖縄についで大阪府が65.2%、東京都が67.3%となっており、これは転入居が頻繁であることや単身世帯の多さなど、大都市圏特有の要因が受信料徴収の妨げになっているとされる。

支払い率ベスト10

秋田県 97.9%
新潟県 94.9%
岩手県 94.6%
島根県 94.3%
山形県 93.5%
鳥取県 92.9%
青森県 92.5%
富山県 91.9%
岐阜県 89.4%
福井県 88.5%

支払い率ワースト5

沖縄県 49.5%
大阪府 65.2%
東京都 67.3%
北海道 70.4%
福岡県 73.9%

※NHK 都道府県別推計世帯支払率<2021年末>より引用

しかし、視聴メディアが多様化するなかで、そもそも受信料の支払いは「選べるべき」という声が挙がり、意思を持って「払わない」という選択をする人も増えてきている。

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AndroidTV 機能搭載チューナーレス スマートテレビ

理論上、受信料の支払い義務が発生しないチューナーレステレビ(画像は「ドン・キホーテ」公式サイトより引用)

受信料支払いを「しない」という潮流は、メーカーの商品開発にも現れてきている。2021年12月にディスカウントストアのドン・キホーテが発売した「AndroidTV 機能搭載チューナーレス スマートテレビ」は想定を超えた売れ行きを見せ、その後も再入荷が話題になるほどだ。また、2022年2月には、スマホ・オーディオ周辺機器ブランドのSTAYERが「4K対応 43V型チューナーレス スマートテレビ」を発表し話題となった(ただしSTAYERのチューナーレステレビは、5月に発売が取りやめになっている)。

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チューナーレステレビは、テレビ本体にチューナー(受信設備)を内蔵していないため地上波が映らない。動画配信サービスを視聴することに特化し、NHKの受信料を払う義務が生まれないというわけだ。

チューナーレステレビが人気を博すなどの流れは「NHK離れ」とも取れるが、それがすなわちNHKのコンテンツ力に大きな問題があるという意味ではない。たとえば、Eテレ(教育テレビ)の長寿番組「おかあさんといっしょ」などの子ども向け番組は、今も多くの子どもが健やかに楽しめる名コンテンツだ。また民放と比較すれば、時代の変化を敏感にキャッチしアップデートしたドラマやドキュメンタリーが多い印象である。

ひとえに人々が懸念しているのは、受信料徴収の強制力だろう。動画配信サービスが広がり“課金”という概念が一般的になったいま、NHKにも同じ感覚を持つユーザーに対して問答無用で徴収を続けていけるかは不透明である。

参照元:2021年度末 受信料の推計世帯支払率(全国・都道府県別)について(PDF)【NHK

※サムネイル画像(Image:yu_photo / Shutterstock.com)

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