和歌山、奈良、三重県にまたがる熊野古道は、「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録されて今年で20年。1000年以上続く巡礼の道として訪日客などの関心は高いが、国内でももっと関心を持ってほしいと360°VR動画が公開された。
熊野は、約2000年前に本宮(熊野本宮大社)が開かれて以降、ご神体とされる滝や川、岩を中心にいくつもの神社仏閣がおかれ、平安中期から鎌倉時代にかけて参詣道が発達した。この参詣道が「熊野古道」と呼ばれ、全長1000キロといわれる長大な巡礼路が古くからの姿のまま残されている。
VR観光動画では、長い参詣道の中から「大門坂」から「那智の滝」までを巡るルートを紹介。熊野那智大社や那智の滝、三重塔、日本サッカー協会のマークにも採用されている八咫烏(やたがらす)など熊野古道のシンボルともいえる見どころが多く集まっており、コケむす石畳を歩きながら神社仏閣を巡る、という熊野巡礼のイメージをバーチャルで体験できる。
熊野信仰の拠点の一つ、和歌山県田辺市は、キリスト教の巡礼路として知られる「サンディアゴ・デ・コンポステーラ」のあるスペイン・ガリシア州と姉妹道として連携協定を締結。両方の巡礼を達成した「共通巡礼」達成者は今年で6000人を超え、「外国人が訪れるべき日本の観光地」ランキング2020年版では、熊野古道は1位に選ばれた。ところが国内では、8割の人が「熊野古道という道を聞いたことがある」と答えたのに対し、実際に訪問した人は全体の10%未満。そこで国内での認知度を高めようと動画を作成したという。