「ウォニョン的思考」という言葉が今年流行しました。K―POP6人組ガールズグループ「IVE(アイヴ)」のウォニョンが、一見マイナスな出来事も、どんどんポジティブに変換する生き方が注目されたのです。

報道によると、その思考をセミナーに取り入れた企業もあるそうです。例えば、スペインでパン屋さんを訪れたウォニョン。お目当てのパン・オ・ショコラが目の前で売り切れてしまい、新たに焼き上がるまで待つことに・・・。でも、ウォニョンが笑顔とともに発信したのは「ラッキーなことに焼きたてのパンをゲットしちゃいました。やっぱり幸運の女神は私の味方ね」。

 9月、私はIVEの11カ月にわたるワールドツアーの締めくくり、東京ドーム公演に足を運びました。スーパーモデル的スタイルと、あどけなさも残るキュートな顔のウォニョンは、長尺のコメントも全て日本語で流暢(りゅうちょう)に話しました。非の打ちどころがなく、私は「ウォニョン様」と呼んでいます。

 彼女だけでなく、IVEは皆、人間性が素晴らしい。歴代K―POPアイドルの中でも、最上級に品があるグループだと個人的に思います。個々のタイプは異なり、尊重し合い、支え合い、デビューから3年弱、今も変わりません。

 リーダーのユジンは、謙虚で向上心と利他意識が強く、東京ドームではメンバーたちに「私の言うことが必ずしも正解ではないかもしれないのに受け入れてくれて本当にありがとう」と感謝しました。

そんなユジンを最年長のガウルは「リーダーだから(ストレスを)抱え込んでいないか」といつも気にかけています。ドーム内をトロッコで1周しながらガウルは、ファンのきらきらした表情を目にして「この光景はあまりにもありがたい」と真っ先に泣いていました。

 唯一の日本人レイは、赤ちゃんのような愛らしさ。ハードスケジュールを心配して世界ツアーには母親が可能な限り同行したそうです。このお母様がひたすら愛にあふれた方。だからかレイは誰に対しても優しく、おしとやか。それでいてパフォーマンスはキレキレで、かわいさとカッコ良さと色気が同居しています。

 最年少のイソは「イソ丸」の愛称で親しまれ、彼女も赤ちゃん的かわいさですが、中学2年のデビュー時から大舞台を無邪気に堂々と楽しんでいて、人生5周ぐらいしている?と思うほど。リズはシャイで少し控えめで、守りたくなる子。ドームでも「今後こんなにたくさんのダイブ(ファンの総称)の前で公演できるか分かりませんが・・・」とウォニョン的とは逆の発言でしたが、そこがいとおしい。IVEはまるで天使の集まりです。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 44からの転載】

山崎あみ(やまざき・あみ)/1997年生まれ、東京都出身。

音楽大卒。interfm「MUSIClock」(略称みゅじろく)メインDJ。YouTube番組「山崎あみ『うるおう』リコメンド」(うるりこ。共同通信社制作)金曜出演。初の写真集「Cantabile」発売中。

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