主人公の柿野正隆(北山宏光・Kis-My-Ft2)と妻・雪映(中村ゆり)に待ち受ける不穏な将来を確信させる不協和音が鳴り響きまくった『ただ離婚してないだけ』(テレビ東京ほか)第6話。
不倫相手・萌(萩原みのり)のバイト先のガールズバーのオーナーで借金に追われている佐野(深水元基)が、柿野夫婦に辿り着き、不倫をネタにゆすりをかける。しかも恐ろしいことに、雪映の働く小学校にまであの風貌で押しかけてくるのだ。
義父から後継者候補を外され自暴自棄になる正隆を支えると覚悟し、これまで何をされても彼の側から離れることはしなかった雪映も、さすがに"夫婦間の問題"の域を超えて、どんどん周囲を傷つけ、迷惑をかけ巻き込んでしまう様子に、精神的に限界を迎えていく。
佐野に自宅を突き止められるかもしれない恐怖から、事件当時に血の海になったリビングの床掃除に何かに取り憑かれたかのように一心不乱になる姿は、いたたまれない。
どうにか自分を保つために"(お腹の子も)誰の子かなんてわからない、あの子はそんな女。いつかこんな目に遭うような女だった"と自己暗示をかけようにも、そもそも自己暗示をかけなければならない時点で真実はその正反対のところにあることに雪映は薄々気付いている。萌の弟・創甫(北川拓実)から姉弟の決して恵まれているとは言えない生い立ち、そして2人支え合って生きてきた様子、さらには「姉貴とやり直したい。今度は俺が姉貴を助けたい」という彼の夢を聞き、自分たちが彼らの「やり直せたかもしれない未来」を奪ってしまったことに絶望するのだ。自身は正隆との関係性修復のために子を宿し、どうにか「やり直そう」としてきたものの、それ自体許されることではなかったのだと思い詰めていく。