■ゲームソフトを買うときの「悩み」
Nintendo Switchのゲームを購入するとき、多くの人が一度は悩むのが「パッケージ版」と「ダウンロード(DL)版」のどちらを選ぶかという問題です。見た目の価格が同じでも、実際にかかる費用や使い勝手には意外な違いがあり、ネット上でも「DL版は割高?」「中古で売れるパッケージ版のほうが得?」といった議論が絶えません。
本記事では、任天堂公式の希望小売価格をベースに、人気タイトルの価格差を比較。そのうえで、パッケージ版とDL版それぞれのメリット・デメリット、そしてなぜ価格差がほとんどないのかといった背景事情まで掘り下げて解説します。
Nintendo Switchの主要タイトルについて、パッケージ版とダウンロード(DL)版の価格を任天堂公式の希望小売価格(税込)ベースで比較すると、ほとんどのタイトルで両者の価格は同一です。
ただし、2021年以降に発売されたタイトルでは、DL版のみ数十円程度安く設定されているケースも見られます。一方、サードパーティ製のゲームではDL版をより安価に設定する例もあり、価格差の傾向には差があります。
図表1は、代表的なタイトルの価格比較とその差額をまとめたものです。
このように、任天堂ファーストパーティのタイトルでは定価はほぼ同一(あっても数十円差)。一方、カプコンなどの一部サードパーティではDL版を明確に安く設定するなど、メーカーによって方針に差があるようです。
■なぜ「ダウンロード版」は少し安いのか
任天堂の人気タイトルは、公式見解はないものの、基本的にパッケージ版とダウンロード(DL)版で同じ税抜価格に設定されているように思えます。しかし、近年ではDL版のほうが税込価格でわずかに安いという例が複数見られます。
たとえば――
・スプラトゥーン3:パッケージ版 6578円/DL版 6500円(差額:78円)
・ポケモン スカーレット・バイオレット:6578円/6500円(差額:78円)
・ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム:7920円/7900円(差額:20円)
このような価格差について、任天堂から明確な公式説明は存在しません。ですが、実際の価格設定パターンを見る限り、ある共通点が浮かび上がってきます。
DL版が数十円だけ安くなる背景には、いわゆる「端数調整説」と呼ばれる見方があります。
これは、消費税10%を税抜価格に加算すると1円単位の端数が発生するケースがあり、DL版ではその端数を切り捨てて、見た目をキリの良い価格に整えているのではないかというものです。
■見た目を「キリの良い価格」に整えている?
たとえば、税抜5980円のゲームに10%の消費税を加えると6578円になります。これがパッケージ版の税込価格として採用されている一方で、DL版ではあえて「6500円」に調整されていることが多く、ユーザーにも直感的に受け入れやすい価格になっています。
『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』の例でも、税抜7200円と仮定すれば、消費税10%を加えると税込7920円。パッケージ版はその通りの価格ですが、DL版では「7900円」に下げられており、ここでも同じ傾向が見られます。
正直なところ、このような税込価格の微妙な違いを、あえてつける合理的な別の理由に見当がありません。任天堂がDL版を「割引している」ように見せたいのであれば、もっと明確な価格差をつけるはずですし、実際にはそれほど強調もしていません。
パッケージとDLで同じ税抜価格に設定しつつ、DL版だけ表示価格をキリよく整えるために数十円だけ差が出ている──これは公式には明言されていないものの、筆者としても「そうとしか思えない」価格構造です。
■「町のおもちゃ屋さんを守る」という側面も
繰り返しますが、この「端数調整による価格差」はあくまで有力な説にすぎず、任天堂が公式に理由を説明しているわけではありません。価格設定の細部においては、社内の会計処理やマーケティング方針など複数の要因が絡んでいる可能性もあるため、断定は避けるべきでしょう。
とはいえ、複数タイトルで同様の現象が起きていることから、「見た目の税込価格をキリよく整えるためにダウンロード(DL)版が数十円安くなっている」という見方には、それなりの説得力があると考えられます。
なお、余談ではありますが、パッケージ版とダウンロード(DL)版の定価がほぼ同一に保たれている背景には、「小売との関係を守る」という業界構造的な事情もあるのではないかと考えられます。仮にDL版が明確に安価であれば、ユーザーはDL版を優先的に選ぶようになり、パッケージを扱うゲームショップや玩具店の売り上げは大きく減少する恐れがあります。小売店は任天堂タイトルの販売を支える重要な流通チャネルでもあるため、あえてDL版を極端に安くは設定せず、定価ベースでは価格を揃えているのだと推察されます。
■プレステは「落ち着いたタイミング」で値引き
「PlayStation」でも同様の傾向が見られます。発売当初はダウンロード版とパッケージ版の定価がほぼ同額に設定され、その後、一定期間が経過して小売での販売が落ち着いたタイミングで、セールなどを通じてDL版が大幅に値引きされるケースが一般的です。これは、デジタル販売のほうが利益率は高い一方で、流通チャネルである小売店との関係悪化を避けるため、発売初期は価格をそろえて競合を防ぎ、物理流通の販売サイクルが一巡した後にデジタル側で割引を行っていると考えられます。
DL版だけを積極的に安く売る合理的なインセンティブは薄く、むしろ小売とのバランスを重視した結果として、「価格はほぼ同額だが、利便性と選択肢で使い分けてほしい」という設計思想があるのだろうと筆者は感じています。
■小売店の「安売り」は見逃せない差
公式の希望小売価格では、パッケージ版とダウンロード(DL)版はほぼ同一、もしくはDL版がわずかに安い程度でした。
特に注目したいのは、パッケージ版が持つ「値引きされやすさ」と「中古で売却できる」という2つの要素です。
任天堂公式のオンラインストア(マイニンテンドーストア)やeショップでは、DL版は基本的に定価販売です(※一部セールを除く)。一方、パッケージ版はAmazonやヨドバシカメラ、ビックカメラなどの量販店で、発売直後から10~20%程度の割引が適用されるケースが多く見られます。
たとえば、発売直後のあるタイトルが――
・公式DL版 → 6500円(定価)
・パッケージ版 → Amazonで5850円(10%オフ)
といった価格になっていれば、数百円~千円近くの差が生まれます。これは見逃せない差です。
■「売れる」「貸せる」という二次的価値
さらに、パッケージ版はプレイ後に中古として売却が可能です。たとえば新品で6000円で購入したソフトを、2~3カ月後に3000~4000円で売れば、実質的な出費は半額以下になります。
また、家族や友人に貸し借りできることも利便性の一つです。DL版ではこれらの選択肢がなく、アカウントに紐付いた「一人用の所有物」として完結してしまいます。
そのため、DL版は実質的に値引きも回収もできないという立場になり、価格面ではやや不利と感じるユーザーも多いのが実情です。
ここまで価格や実売面での違いを見てきましたが、Nintendo Switchのゲームソフトは、どちらの形式で買うかによって、体験そのものが変わるとも言えます。
■パッケージ版は「実物があること」の強み
パッケージ版の最大の特徴は、「実物として所有できる」ことにあります。この点が、さまざまなメリットにつながっています。
たとえば、遊び終えたソフトを中古として売却すれば、購入費用の一部を回収することができ、実質的な出費を抑えることが可能になります。また、友人や家族とソフトを貸し借りしたり、譲ったりできる点も、物理的な所有があるからこその柔軟性です。
また、パッケージそのものに価値を感じる人も少なくありません。棚に並べて眺める楽しさ、限定版の特典や初回パッケージなど、コレクション性やモノとしての魅力も、パッケージ版ならではの体験です。さらに、ゲームカードから直接ソフトを起動できるため、本体やSDカードの保存容量を圧迫しにくいという利点もあります。容量に余裕のない人にとっては、ストレージの節約ができる点も地味にありがたいポイントです。
一方で、パッケージ版にはデジタルにはない手間も存在します。たとえば、ゲームを切り替えるたびにカードを入れ替える必要があり、外出先で複数ソフトを使う人にとってはやや面倒です。また、カードの紛失や破損といったリスクもつきまとうため、物理的な管理が必要になります。
また、通販で購入する場合は発売日に届かない可能性があるなど、入手のタイミングにも若干の制約があるのが難点です。
■ダウンロード版は「利便性の高さ」が圧倒的
一方のダウンロード(DL)版は、利便性において非常に優れた形式です。ソフトをオンラインで購入すれば、発売日当日の0時からすぐにプレイ可能なタイトルも多く、事前にダウンロードしておけば待ち時間も発生しません。
ゲームカードの入れ替えも不要で、本体メニューからすぐにソフトを起動できるため、複数タイトルを気軽に切り替えて遊ぶスタイルとの相性も抜群です。
データはアカウントに紐付いて管理されるため、紛失や物理的な劣化の心配もありません。また、「2本で1万円」で購入できるニンテンドーカタログチケットのような仕組みを使えば、新作タイトルでも実質的にパッケージ版より安く入手できるケースもあります。
さらに、インディーゲームやDL専売タイトルなど、ダウンロードでしか遊べないソフトも多く存在します。こうした作品を楽しむには、DL版が前提となります。
ただし、DL版には注意点もあります。最も大きな違いは、一度購入したソフトは売ることができず、貸すこともできないという点です。遊ばなくなっても資金回収ができないため、結果としてコスト負担が重くなりがちです。
■「高いか安いか」よりも大切なこと
また、基本的に価格は公式の定価ベースで設定されており、セール時期を除けば値崩れしづらい傾向があります。
そしてもう一点、アカウントやeショップというプラットフォームに依存しているため、何らかの理由でアカウントが使えなくなったり、将来的にダウンロードサービスが終了した場合、再インストールができなくなるリスクも指摘されています。
どちらが正解かという問いに、明確な答えはありません。価格差をどう感じるかは、金額というより使い方の価値の違いに根ざしているからです。
重要なのは、「少しでも安く済ませたいのか」「遊びやすさを優先したいのか」「モノとして所有したいのか」「手放す前提で買いたいのか」──といった、自分自身の価値基準を明確にすることです。
ソフト1本の価格は数十円の差かもしれませんが、選び方を誤ると、ゲームを楽しむ体験そのものにもったいなさを感じてしまうこともあります。価格に敏感な時代だからこそ、「高いか安いか」ではなく、「納得して買えるかどうか」を判断軸に、賢く選択していきたいところです。
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高橋 嘉尋(たかはし・よしひろ)
プライシングスタジオ代表取締役CEO
2019年、慶應義塾大学総合政策学部在学中に「価格1%の見直しが、企業の営業利益を約20%改善させる」ということを知り、その影響力に魅力を感じ、同社を設立。30以上の業界、100以上のサービスの値付けを支援している。著書に『値決めの教科書 勘と経験に頼らないプライシングの新常識』(日経BP)
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(プライシングスタジオ代表取締役CEO 高橋 嘉尋)

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