■銀行カードとクレカが1枚になった「Olive」
三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)が提供する総合金融サービス「Olive」。共通のOliveアカウントを使って、銀行口座、クレジットカード、証券、保険などのサービスが開設でき、「三井住友銀行」アプリでシームレスに管理できるというもの。

2023年3月にスタートし、2年間でアカウント開設数は500万件を突破しました。そのうち約半数を20代以下が占め、若者に高く支持されています。
筆者は三井住友銀行に口座を持っていて、今年4月にOliveに切り替えました。3カ月使って魅力的だと実感した特典に絞ってお伝えしたいと思います。
■きっかけは「ATM手数料無料」の特典
筆者がOliveへの切り替えを決断したきっかけは「ATM手数料無料」の特典でした。Oliveを利用すると、基本特典として4つの手数料優遇サービスが用意されています。
● Olive基本特典

・SMBCダイレクトの他行あて振込手数料 月3回無料

・三井住友銀行本支店ATM 24時間手数料無料

・定額自動入金手数料無料

・定額自動送金《きちんと振込》手数料無料
SMBCダイレクトの他行あて振込手数料は、通常3万円未満なら154円、3万円以上なら220円になるので、この手数料が月3回まで無料になるのはお得。また、平日8:45~18:00以外の同行のATM利用には通常110円の手数料が必要になるので、時間を気にせずいつでも手数料無料というのはありがたいです。このような手数料優遇サービスは一部条件付きで多くの銀行で行っていますが、地味にうれしいサービス。
そして毎月、次の4つの特典が選べます。クレジットカードの種別が一般の「Olive」と「Olive ゴールド」は特典を毎月1つ、「Olive プラチナプリファード」は特典を毎月2つ選ぶことができます。
● Olive選べる特典

・給与・年金受取特典Vポイント 200ポイント

・対象のコンビニATM手数料 月1回無料

・Vポイントアッププログラム 還元率+1%

・利用特典Vポイント 100ポイント

■「選べる特典」は毎月変更できる
選べる特典は、コンビニATM手数料無料を選択しています。
対象のコンビニはイーネットATM、ローソン銀行ATM、セブン銀行ATMなので、どこのコンビニでもほぼOK。特典は毎月変更することも可能です。最近はキャッシュレス決済が多く、現金を引き出すことが少なくなったので、時折、Vポイント100ポイントの特典に変更しています。
給与や年金所得者の人は、給与・年金受取特典でVポイントを200ポイントもらえる特典がお得だと思います。年間2400ポイントももらえます。筆者はフリーランスで給与という形で振り込まれないので、この特典が利用できないのが残念です。
なおOliveに切り替えると紙の通帳は使えなくなります。筆者もWeb通帳に切り替わることを躊躇していたのですが、三井住友銀行サイトから入出金明細などを印刷したり、データをダウンロードできると知って、切り替えることにしました。
■対象店舗で「タッチ決済」すると最大7%還元
Oliveの特典で一番、お得を実感できるのは、“対象店舗の買い物でポイント最大7%還元”という特典。一般カードOliveのポイント還元率は通常0.5%(200円で1ポイント)ですが、対象のコンビ二や飲食店でスマホのタッチ決済で支払うと、ポイント還元率が最大7%にアップします。
この対象店舗はしっかり記憶して、そのお店を利用した時には、スマホのタッチ決済で支払うように気を付けています。
● Vポイント加算対象店舗
【コンビニ】

セイコーマート、セブン‐イレブン、ポプラ、ミニストップ、ローソン
【ファストフード】

マクドナルド、モスバーガー、ケンタッキーフライドチキン、吉野家、すき家
【ファミレス】

サイゼリヤ、ガスト、バーミヤン、しゃぶ葉、ジョナサン、夢庵、すかいらーくグループ飲食店、はま寿司、かっぱ寿司、ココス
【カフェ】

ドトールコーヒーショップ、エクセルシオール カフェ

■「家族みんなで利用」でさらにお得
このポイント還元率は、家族がOliveを含む対象の三井住友カードを使っていることで、さらに+5%になります(家族カードは対象外)。
家族ポイントの登録は、代表者の二親等以内の家族(父母、配偶者、子、祖父母、兄弟姉妹、孫)が対象で、1人登録するごとに+1%のポイントが加算されます。家族同士でVポイントを分けることもできるので、家族で利用することでメリット大です。
また、SMBCグループのサービスを利用すると、対象店舗で得られるポイントがさらにアップされます。
この「Vポイントアッププログラム」は、Olive以外の三井住友カードも対象。Olive以外にも三井住友カードを持っていて、SBI証券や住友生命、ローンなどを利用している場合は、最大8%を超えることも。ただし、景品表示法の定めに基づいて、20%がポイント還元率の上限になるようです。
■渋谷の「カフェ難民」を救うサービス
銀行や買い物の特典のほかに重宝しているのが「Olive LOUNGE」の会員専用エリアです。三井住友銀行では従来のスペースを銀行とスターバックス、コワーキングスペースの「SHARE LOUNGE」が一体となった新しいコンセプトの店舗「Olive LOUNGE」にリニューアルしています。
2024年5月に第1号の渋谷店がオープン。そこから下高井戸、高円寺、成増、鶴見、都立大学駅前、町屋と次々と店舗が拡大され、今では東京で7店舗に。2025年4月には大阪の船場にも店舗がオープンしました。
Olive会員はこのOlive LOUNGEの会員専用エリアを、同伴者1人と一緒に無料で利用することができます。
しかもスターバックスやSHARE LOUNGEでの決済は、スマホのタッチ決済を利用することで、Vポイントが10%還元されます。10%還元だと思うと、つい高めのドリンクをオーダーしてしまいます。
その際はレジで「クレジットカードで」「Visaのタッチ決済で」などと伝えてください。電子マネーの「iD」(デビットモードで対応)や、プラスチックカードで支払うと10%還元にならないので要注意です。
渋谷ではカフェ難民になることが多いですが、専用エリアがあると思うと心強いです。ただ、Olive会員数が570万人を突破したこともあってか、満席で待つことも増えてきました。最大40店舗まで増やす予定らしいので、今後、どこにオープンするのか楽しみです。
■新NISAのクレカ積立でもポイントがつく
先日、関西万博に行った時には、三井住友カード会員向け旅行サイト「Vトリップ」のホテル予約で、2.5%ポイント還元になりました。Vトリップはベストプライス保証をしているので、予約後に他サイトでより安い価格だった場合、差額を返金してくれます。サービス開始が2025年3月と新しいだけに、ビジネスホテルのラインナップには偏りがある印象ですが、お得に旅行予約をしたいなら、Vトリップもありかもしれません。
このほか、SBI証券の新NISAでクレカ積立をすることでもポイントが獲得できます。筆者は一般のOliveなので0.5%還元となり、毎月3万円を積み立てると年間1800ポイントがもらえます。

特典というワケではないですが、今後の動きにも注目しています。24時間365日いつでもチャットで健康医療相談ができる会員サービス「ヘルスケアポータル」を2025年度中に開始予定です。
■PayPay残高を海外でも利用する裏ワザ
Oliveと「PayPay」の連携もあり、OliveでPayPay残高を確認したり、三井住友銀行からチャージできたりします。通常、PayPay残高を出金する時には手数料として100円が必要になりますが、三井住友銀行の場合は無料。
しかもOliveでPayPay残高用のバーチャルVisaプリペイドを発行することで、本来、日本国内でしか使えないPayPay残高が世界中のVisa加盟店で利用できるようになります。
VポイントとPayPayポイントの相互交換も行われるので、ポイントを合算することで有効に使えそう。OliveとPayPayの連携は今夏以降の予定なので、そのタイミングを心待ちにしています。
2026年春にはVisaの最高ランク「Visa Infinite(インフィニット)」のカードが登場します。それに伴ってOliveのプレミアムクラス「Olive Infinite」のサービスもスタートし、空港ラウンジやコンシェルジュデスクなどで、最高ランクのサービスを受けることができるようになるようです。アートや食の会員限定イベントや、スポーツの世界大会の優待など、特別な体験も提供されるとのこと。
資産運用に関してもクレカ積立のポイント還元が最大6%にアップするなどの特典が用意されるようです。とはいえ、年会費はまだ未発表で、高額になりそうなので、筆者には無縁のサービスになると思います……。
興味のある人はぜひ。
競合他社の動きとしては、三菱UFJ銀行がライフステージ総合金融サービス「エムット」を6月2日にスタート。NTTドコモが住信SBIネット銀行を子会社化し、銀行業に参入する動きもありますが、Oliveは一歩先を進んでいる印象です。今後、どのようなサービスや特典が加わるのか注目しながら、ますますOliveを極めたいと思います。

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綿谷 禎子(わたたに・さちこ)

ライター

情報誌の編集部から編集プロダクションを経てフリーランスのライターに。現在は小学館発行のビジネス情報誌「DIME」を中心に、企業のオウンドメディアや情報サイトなどで幅広く執筆。生活情報サイト「All About」のガイドも務める。自称、キャッシュレスクイーン。スマホ決済や電子マネー、クレジットカード、ポイント、通信費節約などのジャンルのほか、趣味の文具や手帳の記事も手がける。

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(ライター 綿谷 禎子)
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