<Beat Compañero/波動の交わり>出演アーティストを紐解く
YAKUSHIMA TREASURE(水曜日のカンパネラ×オオルタイチ)
Official Trailer | Re:SET feat. Wednesday Campanella's KOM_I
本イベントの主宰でもあるYAKUSHIMA TREASUREは、その名が表す通り、鹿児島県に属する離島・屋久島から着想を得ているユニットだ。YouTube Originalsでは彼らがどのような経緯で結成されたのかを追ったドキュメンタリー『Re:Set』が公開されているが、その中で彼らのユニークな制作過程がフィーチャーされている。初のセルフタイトルEPでは、ユニットの起源でもある屋久島を訪れ、カエルの鼓動や木々をうつ雨、岸壁の風、波の音など、自然や人々の暮らしに寄り添った音をフィールドレコーディングし、それぞれの楽曲に使用している。それも手伝って、ビートそのものに不規則なリズムが生み出され、どこかスピリチュアルで幻惑的な音楽性が導き出されている。まるで島が生み出す“鼓動”が聴き取れるようだ。サンティアゴ・バスケス
Santiago Vazquez Special Band @Shinjuku PITINN August/26/2018
アルゼンチンを代表するパーカッショニストでありながら、アーティストだけでなく、楽器にあまり触れたことがないような初心者の方も参加できるワークショップを主催するなど、音楽の持つ多様性を伝える活動にも取り組んでいる音楽家、サンティアゴ・バスケス。ドラムスにコンガ、カリンバなど、数々の楽器を難なく叩きこなしてしまうパーカッショニストとしての腕前にも定評がある一方で、さまざまなアーティストと共演するリズム・アンサンブルを世界各地で披露していることでも知られている。ここ日本でも、技巧派ギタリストの大友良英や女優としての活躍も目覚ましいシシド・カフカ、さらに先述のオオルタイチなど、多岐にわたるジャンルを越え、錚々たるミュージシャンたちと共演し、喝采を浴びた。2018年度 アンサンブルズ東京(ショートバージョン)
ライブでは、自身のワークショップでも活用している“リズム・ウィズ・サインズ”と呼ばれるハンドサインを駆使し、リズム・アンサンブルの指揮者としての役割を果たしながら、ダイナミックさと緻密さが同居するパフォーマンスを繰り広げていく。各演奏者がバスケスの指揮に盛り立てられ、四方八方にインプロヴィゼーションを広げていく様相は、YAKUSHIMA TREASUREのライブ同様、圧巻の一言だ。フアナ・モリーナ
Juana Molina - Full Performance (Live on KEXP)
アルゼンチン音響派というジャンルの第一人者としても知られるフアナ・モリーナは、その独創的かつ実験的なサウンドで日本を中心に人気を集めている。多くの楽曲は変拍子かつミニマルな音数で展開されながらも、ラテン・ミュージックに共通する軽快なメロディが散りばめられているのが彼女ならではの音楽性だ。特に電子音楽の不穏なイメージとラテン・ミュージックの陽気さが絶妙にブレンドされた2ndアルバム『Segundo』は、彼女の代表作となり、日本でも大ヒットを記録した。以来、日本のアーティストと共演する場面も多く、2006年の来日公演ではYMOのメンバーでもある高橋幸宏や今は亡き電子音楽家のレイ・ハラカミとともにステージに立っている。サンティアゴ・バスケスがオーケストラ・サウンドでのライブパフォーマンスを得意とする一方で、フアナ・モリーナのそれはほぼ真逆といってもいい。HP|Instagram|Facebook|YouTube|Spotify
ミロ・モージャ
MILOO MOYA Y LA ORQUESTA DE BEATBOX – JAPON
ミロ・モージャはサンティアゴ・バスケスのパーカッション・ユニットであるPANのメンバーとして活躍する一方で、若手のビートボクサーたちを育成するプロジェクトOrquesta de Beatboxのディレクターとしても活動しており、これからのアルゼンチンのストリートシーンにも寄与しているアルゼンチンを代表するヒューマン・ビートボックス・アーティストだ。彼のビートボックスはアルゼンチンの風土をもとに構成されており、クンビアなどに見られるラテン・ミュージック特有の2拍子のリズムが盛り込まれているのが特徴的だ。聴いてみると、フラメンコギターの音がどこからか聴こえてきそうなほど、情熱的なラテン・ビートがうまく再現されている。実際、ライブでもアルゼンチン・タンゴをベースにした楽曲を制作しているシンガーソングライター、ダリオ・ハルフィン(Dario Jalfin)や地元のフラメンコ・シンガーなどと共演し、腰にくる2ビートを披露している。肝がヒエヒエしています!森や湖や崖から、やばい魔術師が集まって、この日出演する人たちのなかで、私だけがまだどんな魔法をつかえるのかわかっていません! 才能のないハリー・ポッターのような気分です! たのしみです!
by コムアイ
サンティアゴ・バスケスとは2006年に大阪新世界にあったBRIDGEでセッションをして以来、13年ぶりに再会します。2mくらいありそうな大きなバナナの葉っぱをアルゼンチンから持ち込んでパーカッションとして使っていたのを覚えています。かつてアルゼンチン音響派と一括りで呼ばれていましたが、その中でも随一の面白さとユーモアがあった彼の作品『Raamon』にはすごく親近感を感じました。 そしてフアナ・モリーナとは2009年彼女のUSツアー・フィラデルフィア公演でひょんなことからオープニングアクトを務めさせてもらったことがあったり、その後も僕のリミックスアルバムで彼女の「SON」という曲をこちらからオファーをかけてリミックスさせていただいた経験があります。 最近のYAKUSHIMA TREASUREでの活動を通して自分の原点でもある即興性の面白さを再認識しているところで、このタイミングで懐かしい2人とセッションできるのはとても嬉しいです。当日はヒューマンビートボクサーのミロ・モージャも加わり、どんな音空間になるか想像がつかないです。今からとても楽しみにしています!
by オオルタイチ
日本のポップアイコンのコムアイさんがワークショップとTrue Colors に参加して起きた変化が23日にどのように現れるか楽しみです。
by サンティアゴ・バスケス
はじめて会うアーティストとの共演にワクワクしています。
by フアナ・モリーナ
Text by Kenji Takeda
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Beat Compañero/波動の交わり
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