日本代表の連覇で幕を閉じた東アジアE-1選手権。
今大会の男子の試合は、すべて韓国の京畿道龍仁市の龍仁ミルスタジアムで行われたが、3万7000席あるスタンドには空席が目立った。
男子日韓戦には1万8418人が詰めかけたものの、女子の試合も含めて観客の入りが悪かったのは事実。
そうしたなか、韓国紙『MK Sports』は、こう伝えていた。
「(地元京畿道龍仁市にある)明知大学のシン・ムンソン客員教授は、韓国で開催されたE-1について、『韓国サッカーは依然として現代サッカーの流れに追いついていない』と指摘した。
『今回の東アジアカップは、韓国サッカーの行政力とサッカー力の両面における混沌とした流れを露呈させた。韓国サッカー協会はE-1開催国として、その欠点を露呈した。
競技力、運営、広報、スポンサーシップなど、あらゆる面で期待外れだった。スポーツは財政確保が全てだ。放映権料、入場料、スポンサー収入は3大収入源だが、今回の大会ではいずれも不十分だった。
今後、FIFAやアジアサッカー連盟などの他国が韓国サッカーの運営能力をどのように評価するのかが懸念される』
今大会は京畿道の龍仁、水原、華城の3都市で開催されたが、興行的には失敗に終わった。男子は計6試合でわずか3万2136人の観客しか集まらず。
ホン・ミョンボ監督率いる韓国代表の試合は、日本戦(1万8418人)を除けば、中国戦で4426人、香港戦で5521人の観客を集めるなど、振るわなかった。
今大会の男子部門の平均観客数は5,356人で、前回大会である2022年大会(日本開催)の平均観客数6,398人を下回った。
興行成績不振の理由として、ソン・フンミンら主力海外選手の不在、一部スタジアムへの交通アクセスの不便さ、そして韓国の夏の高温多湿な気候が指摘されているが、シン客員教授は『プロモーション不足』を指摘した。
『2022年日本大会は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた。観客動員数だけで比較するのは無理がある。
今大会は広報活動が不足していた。国民の認知度は低く、国際大会の開催も話題に上らなかった。これはスポンサー獲得の問題にもつながりかねない。企業の広告主は視聴率を重視せざるを得ない。露出度が高いからだ。
日韓戦という一大イベントがあったにもかかわらず、テレビ視聴率は5.7%程度だった。放送画面に映る観客席が空席だったのに、誰が見に行きたがるだろうか。韓国サッカー協会は大会開催にあたり、せめてメディアを招待し、大会の広報活動だけでも行うべきだった』
シン客員教授は、『日韓戦で、韓国は日本に戦略と戦術の両方で敗れた。
韓国はボールポゼッションとシュート数で(日本を)上回ったが、実は日本の戦略によるものだった。日本はリスクを冒さなかった。香港戦や中国戦のように、前線からのプレッシャーを強めていたなら、安定性を失っていただろう』
客員教授は、韓国と日本の格差は『今後も拡大し続けるだろう』とも指摘している。
『日本は2005年に『Japan's Way』という改革プランを発表し、20年後の今、アジア最強チームになった。我々が迷っている間にも、日本は着実にその具体化を進めてきた。
Jリーグは我々より10年遅れて発足したが、外国人監督の招聘などによってヨーロッパサッカーを急速に吸収し、多くの選手をヨーロッパに送り込むことで競争力を高めた。
当然のことながら、Jリーグのチームの穴はJリーグ選手によって埋められ、さらにJリーグ選手が移籍することで好循環が生まれた。こうした要因が積み重なり、日本サッカーは急速に成長したのだ』」
2022年大会は中国が新型コロナの影響で開催を断念し、日本がホストすることになった。今大会の開催国である韓国はホスト力の低さを露呈し、代表チーム自体も日本との格差を露呈したとのこと。
そのうえで、シン客員教授は「韓国サッカーが世界レベルでより強力な競争力を持つためには、ファンが明確に理解し、受け入れられる方向性を示すことができなければならない。ホン・ミョンボ監督はまだこれを十分に示していない」としつつ、韓国も日本のように自国サッカーの方向性を示す必要性があると強調していたという。