失明しても野球観戦中のケガは自己責任か?

 北海道札幌市の30代主婦が、札幌ドーム(札幌市豊平区)でプロ野球観戦中にファウルボールが当たり失明したのは、「ドームが安全対策を怠ったため」として、札幌ドームと施設所有者の札幌市、試合主催者の北海道日本ハムを相手取り、計約4700万円の損害賠償を求めて札幌地裁に提訴した。

 訴状によると、女性は10年8月21日、一塁側内野席10列目で日ハム対西武戦を観戦中、日ハム選手のライナー性のファウルボールが顔面を直撃。顔面骨折し、右目の視力を失った。女性側は「被告側が防球ネット設置などの安全対策を怠った」としている。

 札幌ドームは06年3月、内野席フェンス上にあった防球ネットを撤去した。ドームが女性側に開示した記録では、日ハム主催試合で起きた観客の打球衝突事故が09年に94件、10年に99件あった。女性側は「ドームは06年以降の事故多発を認識していたが、ネット再設置など十分な対策を怠った」と主張している。

 野球観戦中にファウルボールが当たってケガを負った観客が、主催球団などを提訴した例は数件ある。類似例としては、宮城県の40代男性が、08年5月にKスタ宮城で楽天対西武戦を内野席で観戦していた際、ファウルボールが右目に当たり、視力が0.3から0.003に落ちたケースがある。男性は視力が低下したのは、ネット配置などの安全対策を怠ったのが原因として、主催者の楽天野球団と球場所有者の同県に、約4400万円の損害賠償を求める訴訟を起こした。

 昨年2月24日、仙台地裁は男性の請求を棄却した。裁判長は「安全対策に合理性が認められる場合、来場者に危険なことが起きても、球場の設置者にとっては不可抗力というべきだ」とした上で、フェンスの高さやファウルボールへの注意を促す看板を設置していることを挙げ、「球場として通常備えるべき安全性を備えている」と指摘。また、「臨場感も観戦における本質的要素で、必要以上に過剰な安全施設は観戦の魅力を減少させ、プロ野球の発展を阻害する要因になりかねない」との解釈も示した。

 これまで、同様の裁判で観客側が勝訴した例はない。野球を内野席で観戦する以上、ファウルボールが飛んでくるのは前提としてあり、観客側にも注意義務がある。ただ、今回のケースでは女性の代理人弁護士は「球場には子供や女性、高齢者もおり、注意義務にも限度がある」と主張している。確かに、それにも一理ある。果たして、たとえ失明しても、野球観戦中のケガは自己責任になるのかだろうか?
(落合一郎)

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2012年7月16日のスポーツ総合記事

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