儲け話に目がくらんだばかりに、球界のアニキが詐欺被害にあってしまった。

 埼玉県警は10月16日、今季限りで現役を引退したプロ野球阪神タイガース・金本知憲選手(44)に架空の投資話を持ち掛け、計1880万円をだまし取ったとして、詐欺の疑いで元会社役員・本多善光容疑者(45=埼玉県和光市下新倉)を逮捕した。

 逮捕容疑は08年11月頃、金本選手に「農業法人の会社をつくり、事業を大きくして儲けたい。資金が足りないので都合してもらえないか」とウソを言い、同年12月下旬に550万円を本多容疑者の銀行口座に送金させて詐取。さらに、09年1月下旬に、「農地を取得したい」と言って620万円を、2月下旬には「トラクターなどを買う金が必要だ」と710万円を送金させ、それぞれだまし取ったとしている。

 2人は00年に共通の知人を介して知り合い、頻繁に食事に出掛ける友人関係にあった。県警によると、本多容疑者は「農業法人を悪用するような言い方はしていない」と容疑を否認している。

 本多容疑者は09年5月、栃木県内で農業法人を設立し、理事を務めていたが、事実上ペーパーカンパニーで事業の実態はなかった。

 また、本多容疑者は04年5月に設立したボートレース(競艇)投票券の場外発売所を建設する会社「ジェイ・エフ・シー」(東京都港区)の元社長だったという。金本選手は06年以降、この会社にも出資。事業資金や家賃などの名目で繰り返し現金を渡しており、県警が関連を捜査している。

 これまで出資した分の返還はないもようで、県警は本多容疑者が遊興費などに使ったとみて、金の流れを調べる。

 昨年3月、金本選手が埼玉県警朝霞署に相談し県警が捜査。10月5日に詐欺容疑の告訴状を同署が受理した。

 金本選手といえば、昨年8月、一部週刊誌で金銭トラブルが報じられた。この際は金本選手が07年に1億3000万円を出資して、知人男性とともに投資ファンドを設立したが、リーマンショックで株が暴落。金本選手が知人男性に「投資したカネを返せ」と言い出し、09年1月に知人男性を監禁して、出資金ではなく貸金だったことにする書類に無理やりサインをさせて、最終的に返済させられたとの記事だった。金本選手は恐喝罪で刑事告訴されたと報じられたが、事実無根を主張した。

 07~09年当時、金本選手の年俸は最盛期の5億5000万円(推定)だった。今回の事件は金本選手側があくまでも被害者で、だまされた形になったようだが、金銭トラブルがなにかと多い印象が付いてしまった。カネに目がくらんで儲け話になど食いつかず、野球に専念していればこんなことにはなっていないだろう。その意味では、金銭欲が強すぎて、身から出たさびといえなくもない。
(蔵元英二)