コンプレックス商品にご用心! あるブラック企業の実態(第2回)

 実質的オーナーであるSは、過去に巨額の脱税で捕まっている。その時は脱税が発覚しないように会社を清算して帳簿など一切の証拠を処分。そしてまた会社を設立する。この繰り返しで巧みに捜査の目を逃れていた。

<ワンマン経営の全てが悪いわけではないが…>
 Sは社内では常に社員を怒鳴り散らしていたが、本当は小心者なのだとXさん。「消費者庁の設立に戦々恐々としていたのが印象的でした。その時は全社員の前で、『もう変な物は売らない。これからはマトモな商品で稼ぐんだ』と宣言していましたからね。二度目のブタ箱暮らしは勘弁、といったところでしょうか」。
 しかし、マトモな商品が思ったように売れないのに業を煮やし、結局は「薬事法に違反しないような文言でコンプレックス商品を売れ」と突然方針転換したそうだ。これにはみんな大慌て。会社が生まれ変わるチャンスと感じていた社員のやる気を削いだ。「ワンマン経営。これがブラック企業の1つのポイントだと思います。経営者のひと声で方針がガラッと変わる。もっとも、Sの名前は会社には一切ありません。社長でもなければ会長でもない。だが、経営権はSにある。先日逮捕されたときに“実質的”オーナーと報道されたのはそのためです。まあ、これも自らに捜査が及ばないための策だったのですが、結局は逮捕されました」。

<高い報酬で社員をマインドコントロール>
 この会社、とにかく胡散臭い。イカサマ商売が発覚しないよう社名を次々と変え、さらにはダミー用の屋号も数百はくだらないという。申し込みハガキのあて先も私書箱というケースがほとんどで、コールセンター以外の電話はまともに繋がらない。
 が、大手転職サイトでは人気上位の“優良”企業として紹介されていたこともあるという。「とにかく待遇がいい。というか、社員が次々にやめてしまうので、待遇をよくしないと人手不足に陥ってしまうのです」。
 この、やたらといい待遇もブラック企業にありがちだ。この会社はインセンティブ制度を導入しており、商品考案者・広告制作者・営業担当者にそれぞれ売り上げの数%が支払われる。「毎月1回、インセンティブ授与式が行われます。その商品が売れ続ける限り、関係者にはその一部が現金で支給される仕組みです。中には毎月数百万の金を手にしている人もいましたね。20代で年収1000万オーバーもザラでした。結局、いい金が貰えるからと、Sや他の上司のパワハラを我慢する人も多いのです。会社の思うつぼですよ」とXさん。ある意味、金こそが弱みなのだ。
 もちろん、Sに反抗できないのはそれだけが理由ではない。前回挙げた度重なるパワハラで反抗する気力を無くした(=精神を病んだ)人もいれば、現実的な問題から我慢を続けて退社をしない人も。何せこの就職難である。やめるのは簡単だが、次の仕事を見つけるのがとにかく厳しい状況なのだ。承知の通り、各地のハローワークは失業者で連日あふれかえっている。「私も就職で苦しんだクチですから、たとえブラック企業でも、そしてイカサマ商品の制作を命じられようとも、職がないよりはマシだと、毎日自分に言い聞かせてましたね。私のような平社員はほとんどそうだと思います」。

<Sは逮捕されたが、残党がグループ会社で活動を続けているという事実>
 昨年9月。Xさんが上司の指示でイカサマ商品に関する書類をシュレッダーにかけている最中、突然捜査令状を持った捜査官がやって来た。「ああ、ついにこの時が来たかと思いました。その時は毎日怒鳴られる辛さとか、人を騙している罪悪感で、精神的に限界が近づきつつあった。だから、職がなくなるという不安よりも、むしろやっとブラック企業をやめられるという安堵感のほうが大きかった」。以来、Sは逮捕を恐れて会社に来る回数がめっきり減った。イカサマ商品の広告もほとんど出せなくなり業務は大幅に縮小。結局、Xさんはガサ入れから一か月後に解雇を言い渡された。
 そして今年5月。ようやく実質的オーナーのSが逮捕。Sは取調べに対し、「薬事法違反だとは思わなかった」と話しているという。
 ちなみにSが逮捕された後も、グループ会社が健康食品やダイエット食品を販売しているとXさんは指摘。仮にこの会社が同じような手法で商品を開発・販売しているのだとしたら、その効果には当然ながら疑問符がつく。これ以上詐欺の被害者が出ないよう、担当の神奈川県警には警察の威信にかけて悪徳業者を徹底的に懲らしめてほしいものだ。

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2010年5月31日の社会記事

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