イギリスのヘレフォードシャーには「アーサー王の石」と呼ばれる、巨石を組み上げて造られた遺跡が存在している。

 重さ25トンにもなる平べったく大きい岩「キャップストーン」を9本の大きな岩が支えるという、テーブルを思わせる形状をしており、長さ4.6メートルの湾曲した入口通路が付近に存在している。
北側にはカップの刻印がついた「クオイト・ストーン」という石が存在していたが、今はどれが該当するかはっきりしていない。

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 この「アーサー王の石」は本来であれば25メートルはある墳丘の中にあったものではないかと考えられている。日本の古墳内部にある石室のような存在だったといえる。そのため本来は東向きの入り口と南向きの門があったそうだが、長い年月で侵食を受け、崩れてしまったとみられている。このあたりも日本の石舞台古墳と似ている。そのため、下には何らかの埋葬室があると考えられているが、現在までに遺骨の証拠は発見されておらず、誰が何を埋葬したのかは分かっていない。


 はるか昔からある巨石遺跡のため、昔の人はこの石組みをアーサー王伝説と結びつけて考えていた。伝説によれば、アーサー王の戦った場所を記念して建てられたとも、この場でアーサー王が巨人を倒したことを記念して建てられたとも言われている。こちらの伝説では、アーサー王に倒された巨人が巨石の上に落ち、今日まで残るくぼみを造ったとされている。

 最近の発掘調査では、この場所にはもともと近くにある別の建造物を示す土塁があったが、数百年後に再建されて位置が変わったことが判明している。

 マンチェスター大学のプロジェクトリーダーであるジュリアン・トーマス氏は「Live Science」の取材に対し、「これはストーンヘンジやエイブバリーの遺跡のような景観ですが、それよりもずっと以前のものです。これは、新石器時代の初期において、政治的あるいは精神的に重要な場所であったことを示唆しています」と語っている。


 そのため、「アーサー王の石」の歴史は、アーサー王の伝説の時代よりもはるかに古く、世界で最も有名な新石器時代の遺跡であるストーンヘンジよりも古い、約5700年前頃に建造されたものとみられている。しかし、誰が、何のために建てたのかは、いまだに不明とのことだ。

(山口敏太郎)

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Stone  linked to King Arthur is 6,000 years old(unexplained-mysteries.com)より
https://www.unexplained-mysteries.com/news/349671/stone-linked-to-king-arthur-is-6000-years-old