鶴竜(現鶴竜親方)、白鵬(現間垣親方)の両横綱の引退、照ノ富士の横綱昇進と、角界の勢力図が塗り替えられつつあることが印象的な1年となった2021年の大相撲。2022年は照ノ富士一強の時代が訪れるのか、それとも貴景勝、正代の現大関陣が待ったをかけるのかに注目が集まっている。


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 一方で、多くのファンが期待しているのが現大関陣に割って入る新大関の誕生。昨年は2016年以来5年ぶりに大関昇進力士が出なかったが、今年はその座を狙えそうな有力候補がいる。

 1月場所にいきなり大関とりがかかるのが関脇・御嶽海。昨年は1年通じて三役の座をキープし続けており、直近2場所では計20勝をマーク。1月場所で13勝以上をマークすれば“三役で直近3場所33勝以上”という大関昇進目安を満たす状況となっている。

 ただ、御嶽海は過去に「13勝2敗」で初優勝を果たした2018年7月場所以外に、13勝以上の白星を挙げた経験はなし。
これまでは後半戦に星が伸び悩む場所が目立ち、2021年11月場所3日目(同月16日)には錦戸審判長(元関脇・水戸泉)から「彼は期待を裏切りますから。強い御嶽海と弱い御嶽海がいるから、なんともねえ」と調子にムラがあると指摘されている。同場所も前半8日間は「7勝1敗」と好調の一方、後半7日間は「4勝3敗」と勝ち越しがやっとだったため、1月場所での大関とり実現には後半に失速する課題の払しょくが必要不可欠だ。

 平幕・隆の勝は2021年、1~5月場所まで関脇に在位していたが、5月場所で「5勝10敗」と大きく負け越し平幕に転落。翌7月場所以降は「8勝7敗」、「7勝8敗」と平幕上位の座はキープしながらも停滞が続いていたが、11月場所は「11勝4敗」と大きく勝ち越し敢闘賞を受賞。次場所の返り三役を確実にした。


 敢闘賞受賞後の会見では「自分の立ち合いで前へ出る相撲が多く取れた」と、立ち合いから鋭い出足で圧力をかける取り口を好成績の一因に挙げた。過去に4場所在位した三役では計「30勝30敗」と五分にとどまっていることもあり、これまでは大関候補に推す声は少なかったが、先場所11勝の原動力となった出足の鋭さを1月場所以降も維持・洗練できれば、昇進目安をクリアできるレベルで成績が安定する可能性は十分だといえるだろう。

 御嶽海、隆の勝とは違い現在は幕内下位だが、ここから次期大関へ大化けしそうなのが平幕・阿炎。阿部は当時平幕だった2020年7月場所中に、新型コロナ感染予防の協会ガイドラインを破り複数回キャバクラに足を運んでいたことが発覚。これにより協会から3場所連続出場停止、50%の減給5カ月という処分が下された。ただ、処分が明けた2021年3月場所から2場所連続で幕下全勝優勝を果たし十両に復帰すると、7月場所は「11勝4敗」、翌9月場所は「13勝2敗」で十両優勝を飾り幕内に復帰。
さらに、11月場所でも「12勝3敗」と優勝次点の成績をマークした。

 処分前の阿炎はそれまで小結に4場所在位(31勝29敗)した経験があったものの、攻守両面ですぐに引く癖があったことなどからこれ以上の地位は望めないという見方もされていた力士。ただ、処分後は出場停止期間中に自身を見つめ直したのか、一転して引きを我慢し前に出続ける相撲で白星を量産。11月場所中には協会・八角理事長(元横綱・北勝海)が『スポーツ報知』(報知新聞社/電子版/2021年11月28日付)の記事内で「プレッシャーとか大変だったが、よく早く帰ってきた」と復帰後に番付を戻し続けている点を評価した。1月場所以降も悪癖を払しょくしたまま相撲が取れれば2022年前半で三役復帰、そして後半で大関とりのチャンス到来という展開が訪れたとしても全く不思議ではない。

 照ノ富士一強時代の到来阻止には、現大関陣の奮闘はもちろん下からの突き上げも必要となる。
迎えた2022年、この3名の中から大関の座を射止める力士は果たして現れるだろうか。

文 / 柴田雅人