日本相撲協会が26日、東京・両国国技館で3月場所の番付編成会議を開催。西幕下筆頭の19歳・熱海富士の新十両昇進が決定しネット上で話題となった。


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 報道によると、同会議では熱海富士、西幕下2枚目・島津海の2名が新十両、東幕下3枚目・貴健斗、東幕下5枚目・竜電の2名が再十両としてそれぞれ昇進が決定。熱海富士は昇進決定後にリモート会見に応じ、「20歳までに関取、という目標を達成できてうれしい」と喜びのコメントを残したという。

 熱海富士は2020年11月場所に初土俵を踏むと、翌2021年1月場所でいきなり序ノ口優勝(6勝1敗)を果たす。その後序二段、三段目をそれぞれ1場所で通過すると、幕下に上がった同年7月場所以降も「6勝1敗」、「5勝2敗」、「6勝1敗」と勢いは止まらず。2022年1月場所では、勝ち越せば新十両決定的の西幕下筆頭まで番付を上げていた。

 迎えた1月場所。
2連勝、3連敗、1勝で「3勝3敗」とした熱海富士は、同月22日の場所14日目に7番相撲最後の一番・琴裕将戦に臨む。相手は東十両13枚目と格上だったが、熱海富士は攻めをしのいだ後に得意の右四つに持ち込むと、そのまま前に出て相手を寄り倒し勝利。報道によると、取組後は感情を抑えきれず、取材対応中に号泣していたことも伝えられた。

 涙の勝ち越しもあり新十両をたぐり寄せた熱海富士に対し、ネット上には「正式決定までドキドキしてたけど、7戦目の涙がちゃんと嬉し涙になってよかった」、「幕下昇進直後から10代関取あるかとは予想してたが実現させるのは凄い」と喜びの声が挙がった。一方、「過去の10代関取はほとんどが大成してるから今後がますます楽しみ」、「最低でも三役はいけるのでは、こっから不祥事を起こさない限りは」と、早くも三役昇進を確実視するコメントも多数見られた。

 角界では2000年以降、熱海富士より前に10代関取が11名誕生している。
このうち8名は新十両場所から、遅くとも3年以内には三役に昇進。また、8名中5名(朝青龍、白鵬日馬富士稀勢の里、貴景勝)は大関・横綱の地位まで上り詰めている。

 一方、残る3名の中には若ノ鵬(大麻所持により2008年8月に解雇)、貴源治(大麻使用により2021年7月に解雇)と、スピード出世を果たしながら不祥事で土俵人生を棒に振った力士が2名いる。そのため、熱海富士は前述2名のような不測の事態を起こすようなことがなければ、今後の大成は決定的だとファンはみているようだ。

 「熱海富士の今後は本人がどれだけ相撲に熱心に向き合えるかによる部分が大きいわけですが、現在所属している伊勢ケ濱部屋は相撲に打ち込むには恵まれた環境だといえます。同部屋は伊勢ケ濱親方(元横綱・旭富士)の指導の下、多い時では1日80番にも及ぶ猛稽古が行われていることで有名。
また、日々の稽古では親方はもちろん、横綱・照ノ富士をはじめとした関取衆も下の力士に盛んにアドバイスしているといい、熱海富士も昇進後会見では『「自分に自信を持て」「自分の相撲を取れば大丈夫」と横綱(照ノ富士)や安治川親方(元関脇・安美錦)は言ってくれる』と感謝を口にしています。練習量に加え、親方・兄弟子からの助言も豊富ということを考えると、このまま順調に出世街道を歩んでいく可能性の方が高いといえるのではないでしょうか」(相撲ライター)

 昇進後会見では「このままじゃダメです。もっと稽古して強くなりたい」と語ったという熱海富士。向上心を維持したまま稽古に励み、過去の先輩たちに続き大成を果たすことはできるのだろうか。

文 / 柴田雅人