先月中旬に、民間シンクタンク「日本戦略フォーラム」の主催で台湾有事を想定したシミュレーションが行われた。

参加者は自民党の小野寺五典元防衛大臣や自民党の現職議員、防衛相や外務省のOB、自衛隊のOB、台湾の有識者である。


台湾有事が起こると、台湾を守るため日本の基地から米軍の飛行機が飛ぶわけだが、その前に中国から日本政府に
「米国の支援や在日米軍基地の、台湾攻撃作戦のための使用を許可すれば中国に対する軍事行動とみなし【日本全土は軍事目標となる】」
と、警告をしてきたとする。

そのとき日本政府はどうするのか? シミュレーションでは「日米安全保障条約6条」(これは、日本国の安全や世界の平和のためなら、米軍が日本の施設及び区域を使用することを許すというもの)にもとづき、日米両国の話し合いの結果、中国の脅しに屈せず、使用を許可する。

おそらくこのとき日本国内では、「日本は攻撃されていないのに、日本の基地を使って中国との戦争に参加するのか」と反対する政治家や国民も多くいると想定。では、在日米軍基地を使わせないと日本政府が判断した場合どうなるか?

在日米軍はグアムなどに移動して、日本の防衛はガラガラになってしまう。この状態のときに日本が攻撃を受けたら、日本を守るための共同防衛ができなくなると考えた。

また日本は威嚇を受けたら引いてしまうという姿勢を見せると、さらに強い脅しをかけてくると予想。


台湾有事のとき、日本にある在日米軍の使用を許可すると、中国は日本から宣戦布告をしてきたと、判断する可能性がある。そのとき中国にいる約10万人の日本人をどうするのかという問題もある。

このとき中国にいる日本人は「反スパイ法」などで捕まる可能性がある。反スパイ法の最高刑は「死刑」だ。この場合、拘束された日本人は人質にとられたも同然となる。よって1日も早い帰国が必要となってくる。
シミュレーションでは1週間ほどかかった。しかし現実として中国政府が出国を許すかどうかは不明だ。

次に台湾の戦闘機が「台湾国内の滑走路が破壊されたため、日本の滑走路を使わせてほしい。弾丸も補充してほしい」という要請が来たらどうするのか? そんな問題も出てくる。

これがただ滑走路を使い燃料を補給するだけならいいのだが、さらに弾丸を補給したとなると、この時点ではまだ日本は攻撃を受けていない。しかし中国と戦争中の台湾の戦闘機に、弾丸まで補充したとなると、中国が「日本は戦争に参加した」という口実を与えることになる。


そのため、弾丸の補充を含めて在日米軍の滑走路を使ってもらうというのが、シミュレーションで出た判断であった。

もし台湾有事と同時に、尖閣諸島に中国人が上陸して埋め立て作業を開始したらどうするのか? などなど台湾有事が起き、日本が直接攻撃されていないときでさえ、数々のシミュレーションが出てくる。

いつはじまってもおかしくない台湾有事。あらゆることを想定しておくことが重要だ。

プロフィール

巨椋修(おぐらおさむ)
作家、漫画家。22歳で漫画家デビュー、35歳で作家デビュー、42歳で映画監督。
社会問題、歴史、宗教、政治、経済についての執筆が多い。
2004年、富山大学講師。 2008~2009年、JR東海新幹線女性運転士・車掌の護身術講師。陽明門護身拳法5段。