28日のドラフト会議でデビュー戦を飾る楽天・星野仙一監督(63)。オリックス・岡田彰布監督(52)との遺恨戦もプレーボールだ。早大・斎藤佑樹、中大・沢村拓一と並んで10・28ドラフトのビッグ3の一角、早大・大石達也の獲得を巡って、楽天・星野監督とオリックス・岡田監督が激突する。来季繰り広げられる、仁義なき戦いの前哨戦だ。
2人は阪神監督復帰レースで宿命のライバル関係だった。「ポスト真弓は岡田が本命」と言われていたのに、1年間のネット裏生活を経て、今季から岡田監督がオリックスのユニホームを着たのは、「ポスト真弓は星野」という路線を知ったからだといわれている。ところが、契約通りの2年間で終わると思われた真弓政権は、まさかの優勝争いをして来季続投が決定。それも新たに2年契約だ。楽天から監督要請された星野氏は、ポスト真弓をあきらめ、楽天監督に就任する。
ポスト真弓レースでは痛み分けに終わった星野vs岡田両監督だが、今度は楽天vsオリックスの監督として遺恨戦を展開するのだ。2人の積年の仁義なき戦いはまさにドロドロだ。阪神球団史上初の外様監督として招かれた野村克也監督が3年連続最下位で解任。岡田監督が阪神二軍監督として、一軍監督昇格を心待ちにしていたのに、割り込んできたのが、中日監督を解任されたばかりの星野監督だった。
「野村の次は星野か。冗談やないで」。怒り心頭の岡田二軍監督は、阪神を退団、初めてネット裏で評論家生活を送り、阪神監督のチャンスを待つことにした。それを阻止したのが、星野監督だった。「阪神の監督をやりたいのなら、二軍に隠れていたり、ネット裏に逃げたりしないで堂々と責任ある一軍のコーチとして勝負しろ」。こう岡田二軍監督を挑発。一軍の責任あるポストの三塁コーチ役を命じたのだ。
「さすが政治家の星野だ。失敗すれば、壊れた信号機などと批判され、矢面に立たされやすい三塁コーチにすることで、ポスト星野の最有力候補を潰す気や」。阪神OBたちは、巧妙な星野戦略に舌を巻いた。
が、岡田三塁コーチは大きな失敗をすることもなく、3年契約の2年目に18年ぶりのリーグ優勝を達成して勇退した星野監督の後を受け、阪神監督に就任している。それでもその裏には一波乱あり、スムーズな政権禅譲があったわけではない。
「ミスター・タイガースと言われたお前が監督をやることを阪神ファンは望んでいる。ブチ、お前がオレの後の監督をやれ。ワシがオーナーに言ってやる」。星野監督が後継に指名したのは、田淵幸一チーフ打撃コーチだった。欲のない、人柄の良い田淵氏は「仙ちゃんが辞めるのなら、オレも一緒に辞めるよ」と阪神を退団。岡田監督がようやく誕生したのだ。
しかし、これにて一件落着にはならなかった。星野監督は勇退したが、オーナー付きシニアディレクターという、お目付役に就任したからだ。常に背後から星野氏の視線を感じながら、サイ配をふるう岡田監督は針のむしろに座らされた心境だっただろう。就任5年目の08年、2度目のリーグ優勝へ向かって大独走ムードの最中、岡田監督は坂井オーナーに星野シニアディレクターの解任を直訴した。が、却下されてしまったのだ。ペナントレースも大独走から一転して巨人の大逆転を許し、引責辞任という形で岡田監督は阪神を退団している。「岡田が辞めた本当の理由は、星野切りに失敗したからだ」。球界事情通はこう断言する。
こんなドロドロした人間関係の楽天・星野vsオリックス・岡田監督の遺恨戦、面白くないはずがない。来季のパ・リーグの新看板カードになる。その手始めのドラフト。大石の当たりクジを引くのはどちらか。それとも阪神復帰レース同様にこれまた痛み分けになるのか。興味津々だ。
星野vs岡田注目の遺恨戦開始
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