事故や災害で犠牲者が出た場所には、浮かばれない人々の怨念や恨みの念が残るという。成仏しきれない人の魂が現世にとどまり、地縛霊として生きている人に訴えかけ、時には害をなす事もあるという。


 こちらの写真を見ていただきたい。1924年にある船から撮影されたものである。船の甲板の向こう側、波の間にうっすらと二人の人間の顔が浮かんでいることがわかる。二人はこの写真が撮影された船にて、不慮の事故で命を落とした乗組員の顔に酷似しているというのだ。

 この写真が撮影された船、ウォータータウン号はカリフォルニアからニューオリンズに向けて航行していた。その最中、ジェームズ・コートニーとマイケル・ミーハンという二人の乗組員が、タンク清掃中の事故でガス中毒となり、死亡してしまった。
しかし、この不幸の事故から数日後、船内で亡くなった二人の姿を目撃した船員が続出。

 複数の乗組員の前に数十秒間、虚空に二人の顔が浮かんだ状態で目撃されたこともあった。そのため、船内は二人の霊におびえる乗組員が続出したという。

 ウォータータウン号は順調に航行し、ニューオリンズに到着。船長のキース・トレイシーがこの件を所有する会社などに報告した所、非常に興味をもたれたため、船内のあちこちをカメラで撮影してみた。すると、この写真をはじめとした複数の心霊写真が撮れてしまったのだという。
この写真を見た乗組員たちは、口をそろえて亡くなった二人に似ていると証言したそうだ。

 さて、この写真は古くからアメリカで本物の心霊写真と見なされてきたが、同時に懐疑的な見方をする人々も少なからずいた。この写真を研究していた作家のブレイク・スミスは「オリジナルの写真を見て、当時の現場の状況と照らし併せてみないと解らないが、係留された船の後ろに港の施設があり、たまたま近くを通りかかった人の顔が写り込んだのではないか」と推測している。

 さて、この写真は本物の心霊写真なのか、それとも偶然の産物だったのか。真実は未だに解っていない。

文:和田大輔 取材:山口敏太郎事務所