中村菜々子(仮名・26歳)

 私は、服が大好きでバイト代のほとんどはショッピングで消えていきます。1度着用したらもう着ない服もたくさんあるので、定期的にゴミとして処分。
前までは古着屋に持って行ったりしていたのですが、それも面倒くさいので、すぐに捨てています。

 そんなある日、彼氏が『捨てるなら、欲しい』と言い出しました。でも私の買う服は完全に女物ですしサイズ的にも男性が着れるようなものではありません。なのに『どうして?』と尋ねてみると、『勿体ないからコレクションするよ。菜々子のものは全部残しておきたいんだ』と言うのです。なので愛されていると感じた私は、それから定期的に服をあげるようになりました。


 また別の日、彼が自宅に遊びに来た時、コンビニに買い物へ行くと部屋を出て行ったことがありました。その際に彼は上着を置いて行ったのですが、ポケットから白い紐がはみ出ているのを発見。なんだろうと引っ張ってみると、それは彼が来るまでに装着していたマスクでした。なんだマスクかと思い元に戻そうとした瞬間、口側に布のようなものが引っ付いているのを見つけたのです。それをよく見ると、なんと布は見覚えのある下着で、しかも股間部分だけを切り取ってテープで貼り付けられていました。

 そういえば、たまに下着がなくなるとは思っていたのですが、どうやら彼は私のものをこっそり拝借し、それをマスクの内側に貼り付けていたのです。
おそらく彼はどんな時でも私の匂いを嗅いでいたいという願望があるのでしょう。そして私の服を欲しがった理由も、きっとそれが理由だったのだと思います。

 その時の出来事はまだ彼には言えていません。知らないふりをしてこのまま交際を続けるべきか悩んでいます。

(取材・構成/篠田エレナ)

写真・TheGirlsNY