元ヤクルト高津が独立リーグ入りした意義

元ヤクルト高津が独立リーグ入りした意義

 一律13万円、遠征は民宿などで雑魚寝…。「野球を職業にする」ことは並大抵の苦労ではない。選手に『給料』が支払われるのは、シーズン中だけである。プロ野球界も同様だが、金額が違う。しかも、プロ野球界には給料に『プラスアルファー』があるので、生活苦を実感することはほとんどないはずだ。

 独立リーグはハングリーである。専有グラウンドを持っていない。資金もない。道具も十分にあるとは言い切れない。持っているのは、本当に『情熱』だけかもしれない。
 四国アイランドリーグ・愛媛(名称は当時)に、松坂大輔の弟・恭平が在籍していたころ、彼を取材したことがある。野球に対する情熱も語ってくれたが、練習日の昼食光景が衝撃的だった。コンビニのおにぎり2つ。他選手も似たようなものだった。自炊をしている夕食も「財布と相談しながら」と話していた。アスリートにとって、『食事』は身体を作るための必須事項なのだが…。
 また、現埼玉西武ライオンズの宮地克彦・二軍コーチがBCリーグ・富山に在籍していたころだった。練習中の些細なことでもプロ野球との違いを感じることがあったそうだ。
たとえば、フリー打撃の際、プロ球団ならば、外野に転がったボールは裏方の職員が拾い集めてくれる。独立リーグは自分たちで集めなければならない。打ち損じて折れたバットを涙目で見つめる選手もいた。プロ野球の世界が「いかに恵まれていたか」を実感したと言う。

 去る1月27日、元東京ヤクルトスワローズの高津臣吾投手(42)がBCリーグ・アルビレックス新潟の入団会見に臨んだ。プロ野球史上最多となる286セーブ(日米通算313セーブ)、名球会入りも果たしたビッグネームの独立リーグ入りに驚いたファンも多かったはずだ。現在、BCリーグは1球団が抱えられる選手数を上限27人と定め、年俸総額3105万円までというサラリーキャップ制を敷いている。高津の推定年俸は200万円(6カ月間)である。高津自身、「現役を続けたい、そのためならアジア、米独立リーグ、欧州でも」と考えていたそうだ。

 高津が新潟入りする前にも、プロ野球退団者が『再起』を期して、独立リーグ入りした例はたくさんあった。学校卒業後、高いレベルで野球を続けたいと思う学生も少なくない。
 元プロ野球選手が監督、コーチを務めているからだろう。独立リーグの練習指導は細部に渡っており、時間も長い。まさに野球漬けだった。独立リーグは「野球を続けたい」と思う元プロ野球選手、学生球児の受け皿でもあり、「存在することに意義のある」と思っている。しかし、それだけではない。

 アメリカの地方都市にはマイナーリーグのチームが点在している。地元市民はホームタウンのユニフォームを応援し、そこからメジャーにはばたいて行った選手を誇りに感じている。寂れた地方球場のスタンドに集まった老若男女が声援を送るのは、マイナー選手の頑張りを認めているからであり、ちょっとヘタクソな選手に親近感を覚えるのだろう。
 『地域密着』では、Jリーグの後塵を拝したプロ野球12球団もその遅れを取り戻そうと必死だ。

 アメリカ市民がマイナーリーグのチームを応援するように、日本の独立リーグは地域住民の「より身近な存在」として、NPBよりも深く地域に根付く可能性を秘めている。選手の成長を楽しむ野球−−。ビッグネーム・高津を得た独立リーグのこれからに期待したい。(一部継承略/スポーツライター・美山和也)

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2011年2月24日のスポーツ総合記事

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