『JIN-仁-完結編』第2話、我が道を行く綾瀬はるかの切なさ

 TBS開局60周年記念ドラマ『JIN-仁-完結編』の第2話「未来との選択」が、4月24日に放送された。今回は南方仁(大沢たかお)が考案した安道名津(あんドーナツ)が評判になり、皇女和宮(黒川智花)に献上することになるが、そこでトラブルに巻き込まれてしまう。仁の身を案じる橘咲(綾瀬はるか)の切なさが印象的であった。

 咲の切なさは最初から全開であった。咲は仁友堂の経営難を救うために自らの着物などを質入れする。その一方で和宮に謁見する仁のために着物を購入する。しかも、仁には「兄から借りた」と嘘をつく。

 これに対し、咲の苦労を知らない仁は長屋を追い出された野風(中谷美紀)に仁友堂で働くことを勧める。仁の言動は優しさからのものであるが、仁に尽くす咲には酷でもある。恋愛ドラマならば嫉妬や不信が生じる展開であるが、仁の野風とミキへの思いを知る咲は快く受け入れた。

 『JIN-仁-』は現代の外科医が幕末に行くタイムスリップ物である。タイムスリップ物では生まれ育った時代から別の時代に放り出された主人公が、その時代の人々には理解できない孤独な悩みを抱えて苦しむことが定番である。これは『JIN-仁-』も同じである。主人公が人の命を救う医者であるために悩みも深くなる。

 一方で『JIN-仁-』は咲という理解者の存在が異色である。仁は未来の世界や、婚約者のミキ、その先祖からもしれない野風のことなどを咲に話し、それを咲も理解している。何でも話せる理解者が存在する点で仁は相対的には幸せなタイムスリッパーである。反対に咲は仁の想いを受け止めるばかりで、自分の想いを伝えることができない。

 この切ない咲を綾瀬が好演している。2004年放送のテレビドラマ『世界の中心で、愛をさけぶ』のヒロインが出世作となった綾瀬は薄幸の女性が似合うが、本人の性格は我が道を行く天然キャラである。最近では4月19日に行われた映画『プリンセストヨトミ』の完成披露会見で、大阪城を「お寺」と言ったエピソードが披露された。

 そのような我が道を行くキャラクターが、武家の娘らしい凛とした気品と芯の強さを醸し出し、それが報われなくても一途に尽くし続ける咲の切なさを浮き彫りにする。タイムスリップ物では主人公が元の時代に戻れるかが一番の関心事であるが、『JIN-仁-』では咲の想いが報われるかにも注目である。
(林田力)

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